第五百二十一:泰子さんの話(418) ★やりにくい話
第五百二十一:泰子さんの話(418) ★やりにくい話
お前はエッセイばかり書いていて、本業の会社の経営は大丈夫か、と思われるかも知れない。
石破首相程ではないが、社長業として私のやるべき仕事は少なくない。とは言え、若い時のような体力 はない。その日にやるべき仕事が仮に10件あるとすれば、全部やらずに中からどうしてもやらなければならない重要な仕事を一つだけ選ぶ。その一つに(いい加減に流すのではなく)文字通り徹底して全力を注ぐ。
それをやり遂げて、まだ余力があれば他の仕事を処理し、もし大儀なら、大抵大儀になるが、他の残りの9件は明日へ回すかやらないかする。
こうして一日に一件だけなら、そんなに多忙ではない。どちらかと言えば充分なヒマがあるが、人の目があるから、暇すぎる風に見えないようにしている。が、このヒマは案外と大切で、余白の極意というのがあって長期的視野に立って新しい経営戦略をひょいと思いつく事が多いーーー、というのが私のもっともらしい言い訳である。
これが普段の仕事のやり方で、踏襲してもう20年位になるが、案外と会社は上手く回っている。なんでもノウハウになるものだ。
つづく
 




