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第五百十七:泰子さんの話(414) ★聚楽館の話(2)

第五百十七:泰子さんの話(414) ★聚楽館の話(2)


(昭和54年5月頃書き遺した父(当時68)の記述)

 5月となり日が長くなって来たこともあって、昨日勤め(=定年退職後の第二の職場:大阪航空公害防止協会:豊中市)の帰りに阪急電鉄の神戸新開地で途中下車してみた。美味しいコーヒーを飲ませる喫茶店がある。喫茶店に向かう前に回り道をして聚楽館( しゅうらっかん)の前を歩いた。昨年12月頃にはまだ大きな看板を出して映画の宣伝をしていた。もっとも、余り人は入ってなかったみたいだったが。


 半年ばかりが経った昨日聚楽館しゅうらっかん前を久しぶりに歩いたら、映画館は営業を止めたらしく周囲に金網が張ってあった。高い屋根の辺りから雨漏りもしているようだった。建物は汚れ、壁でも落ちてこないかと思わせた。


 聚楽館と言えば、昔は自分の子供たちが宣伝文句に倣って「ええとこ ええとこ、シュウラクカン!」と言っていた。新開地の繁華街の象徴であっただけでなく、神戸随一の娯楽の殿堂で、豪華絢爛で一時期それは賑やかだった。


★息子の追加注釈: 私もこの新開地の昔の繁華街の賑わいをよく覚えて居る。小学校2~3年でなかったかと思う。父に連れられて新開地へ買い物に出かけた。車が通らない道筋だっただけに余計に道が狭いうえに店が多く、人が溢れかえっていた。ワッショイワッショイという感じで、もしこけたら(=つまずいて体が倒れでもしたら)、小さな自分など背中を踏みつぶされるかと怖く思った位だった。ごった返すとか沸き返るとはこの街の事だった。


 子供雑誌を買う為に本屋に寄ったのだったが、手を伸ばして軒先に並べられた本一冊を手に取るのさえ困難を極めた。大きくなって中学生2年になり「海底二万マイル」の映画を観たのも、この街の聚楽館だった。


つづく


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