第五百四:泰子さんの話(401) ★本箱の話
第五百四:泰子さんの話(401) ★本箱の話
先に、父の手帳の記述の中から「本箱の話」を紹介した。
父に似て私も読書が好きで、趣味の一つである。私も(本箱というより)自宅にかなり大きなサイズの本棚がある。けれども、棚に本は殆ど置いてない。代りにあるのは、仕事の関係で人から貰った装飾品や美術品や、旅先で購入した記念の品々だ。
棚に本が無いのは、若い時は、というより60位になる前に、手持ちしていた本を殆ど処分したからだ。よく、読書家の有名人などが「ウチにはxxx万冊の本があるんですよ」とか、「本の重みで家の床が抜けそう」とか、「そこらの街の図書館より沢山本がある」とか聞く事がある。少しは自慢もあるかもしれない。 中には、xxxの初版本がありますとか、著者のサイン入りですとか得意がる向きもあるが、これは骨董趣味に似ている。
棚から殆どの本を処分したのは歳が入った為でもないし、本を読まなくなったからでもない。
棚に並べられた沢山な本は「眺める」分には見栄えがして、多少の愛着も感じて確かに値打ちがあるように見えた。足りない自己満足を満たすには、素敵な家具だった。けれども同時に大きな無駄にも気づいた:再読する機会が殆ど無かったからだ。
つづく




