第四百六十:泰子さんの話(357) 新人が辞めた(3)
第四百六十:泰子さんの話(357) 新人が辞めた(3)
(先のつづき)明日は土曜日です。他に誰もいません。お昼過ぎにでも会社に来ませんか。もう一度「気楽に」お話をしませんか? 才能だけを買いたい。貴方を失うのを会社はとても残念に思います。
XXX社 社長
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★改めて手元の履歴書を眺めると、大学を出てMKの最初の就職先は中学校の先生。はみだし女がそんな堅苦しい筈の教育現場で受け入れられる筈はない。率先して規律を守らないのだから、生徒がみなだらしなくなってしまうだろう。
その中学校を含めて過去の複数の職場で、彼女がつまはじきにされて来ただろうと容易に想像出来る。ウチを辞めても、新たな職場でまたつまづくに違いない。一種の「発達障害の人」で、仕事に対して本人の気持ちが一所懸命なだけに、これを思うとMKを哀れに思う。
その意味で、MKが受け入れられて働ける職場はウチ一社しかないのにーーー、と思うと先のメールの通り残念で仕方ない。(本人に規律上の注意をしたものの)ハンデのある人に対して、私は決して冷たい人間ではない。
私が出したメールに返信はなく、MKは土曜日にやっても来なかった。このタイプの人は自分で一旦思い込んだら、冷静になってもう一度「考え直す」という習慣はないようだ。(本人は気づいていないが)そういう処もまた普通ではないのだ。無駄なのが分っているから、再度のメールはしない事にして、会社は後任人事を改めて決める事にした。
お仕舞い




