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第四百四十八:泰子さんの話(345) 飛行神社の話(父の手帳から)
第四百四十八:泰子さんの話(345) 飛行神社の話(父の手帳から)
以下は全て、私の父が小さな手帳に書き遺していた話をそのまま書き写したものである。一部読み難い部分へ言葉を足したり、代名詞の繰り返しは略した処もある:
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「航空公害防止協会」(=防衛省を退職した後の天下り先)に勤めるようになって初めて知ったが、毎年四月二十九日になると、各航空会社や航空局など航空関係の役職員が、一同に会する場所がある。
飛行神社(=珍しい名称の神社だが、京都府八幡市に実在する)である。聞くと、過去一年間に航空界で起きた事故による物故者の霊を慰め、今後の航空安全を祈願する為らしい。
飛行神社というのは京阪電車京都線の八幡駅近くにあり、その祭主は二宮顕次郎という人である。この名を聞いた時、驚きと共に人の世の流れの中の偶然の出会いを思い出して、暫く遠い昔の想いに沈んだ。
先の祭主の二宮氏は、我が国で初めて、いや後で本や資料を調べて知ったが、世界で最初に、つまり
ライト兄弟よりも早くに、飛行機を考案した「二宮忠八」という人の子息なのである。
つづく




