第四百四十一:泰子さんの話(338) トランプ関税(3)
第四百四十一:泰子さんの話(338) トランプ関税(3)
経営の軸足について、よく「選択と集中」と言われる。限られた経営資源をバラバラに使わずに特定の分野に一気に集中せよという意味だ。このやり方は米国GE社の元社長ジャック・ウエルチが提唱して成功した。我が国でも例えば昔日立製作所が一時経営不振に陥って、この手法で経営を立て直した。
けれども経営とは難しいもので、「そうか、一気集中すべきかいな」と思っていると、その分野が集中的に廃れる場合もある。例えば今回のトランプ関税のショックをまともに受けるような業界の会社がそうだ。或いは、自動車の部品メーカーがガソリンエンジンに集中していて、これがEVの時代に変わった途端突如仕事が蒸発して無くなるような場合もそうだ。
ついでの流れで言えば:例えば電気自動車(EV)へ集中し過ぎて多くの自動車メーカーが(期待したほど)売れずに昨今慌てている。対してトヨタはEVに同時並行してHVや燃料電池車など「様子見」をやりながら多角的にやっていて被害を少なくしている。世界の潮流という流行に流されず、特定分野に一気に集中しないのだ。大手商社の伊藤忠商事も「特定分野に集中しない」のを、意識して経営の軸足に置いているようだ。
つづく




