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第四百三十七:泰子さんの話(334)  つつじの開花(5)

第四百三十七:泰子さんの話(334)  つつじの開花(5)


 イノシシ達は猟師に脅されて不安定な暮らしを余儀なくされているから、天気が良くてもわくわくする事などある筈は無く、ダニに食われながら罠だらけの夜道を歩き回る苦労は並大抵ではなかろう。


 一度だけこんな事があった:アッという短い瞬間だったし、笹の葉に埋もれて姿は見えなかったのが残念だったが、一度だけ昼間にイノシシに遭遇した事がある。私が歩いていた径の数メートル先を確かに駆け抜けたのだ。野球で言えば目もくらむような速球である。


 この時の地響きときたら相当なもので、辺りの林を一瞬揺るがした。急な空気の動きにハッと身構えたものだ。彼の方でも昼寝の最中で気楽にくつろいでいた処を、私の足音に気付いて驚愕し飛び足で逃げたのだ。昼寝の邪魔をされても食ってかかる訳には行かなかったらしい。


 私も同時に自らを反省した:地響きの大きさから80~100kgはありそうだった。もし正面から突進してくるなら、手に持っている鎌やノコギリでは到底間に合うまい。駆け抜けたスピード感から、到底逃げられるものではなかった。死ぬことは無いと思うが、体当たりされて牙でもあれば重症だなーーー。日本語が通じないから和平交渉の余地は無く、対策は敵意を見せず相手にならない事に限るようだ。


 もう一つ、万が一の為に考えている対策は: もし相手が私から逃げない場合、突進してくる意志があるとみて、木一本を「盾」にしようと考えている。最低限として径が10センチ以上ある木なら、助かると思う。森林は草原ではないから、10センチの木なら手近に何時も立ってある筈で、この時は絶対に逃げてはいけない。あくまで真正面対峙だ。一度予行演習しようと思っている。


つづく

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