表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1463/1685

第四百三十三:泰子さんの話(330)  つつじの開花

第四百三十三:泰子さんの話(330)  つつじの開花


 先のエッセイで書いたが、雨でも降らない限り、殆ど毎日昼休みに会社の近所にある岩岡村の原生林を探検している。国有林で大木も数多くあり、域内は広い。


 最大と思われる樹木は外周が3mもある大木だ。これに太さ10センチ以上もある複数のツタが絡みついている様は、生存競争で植物同士が殺し合いしているのを目の当たりに見る思いがして、凄みさえ感じる。

 ツタの絡みつく力は相当なもので、木々の中にはツタに元の大木が絞め殺されて、ついに命絶えて枯らされたまま突っ立っているのが何本も見られる。絡まれても木は逃げ出す事が出来ないからで、こんな時は自分が足の有る人間で良かったと思う。それにしても、絡みついた木を枯らしてしまっては、ツタも結局生きる道を失い元も子もなくなる。一度ツタに考えをとくと訊いてみたいと思う。


 今(=春期)は猟期ではないから、イノシシを獲る猟師も罠を仕掛けないから森の中で人に出逢う事もない。深い森だから幾ら歩いても万物ぴたりと鳴り静まり、四顧寂として万籟声なくという感じになる。足下で枯れ木を踏み折る音や時々聞こえる鳥の僅かな鳴き声は、むしろ寂寥の思いを深くする。この探検を趣味で初めて一年半程になるが、初期の頃は森林の圧する静寂と寂寥感が少しばかり苦痛であったが、今は慣れた。


つづく

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ