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第四百二十六:泰子さんの話(323) 経営者と歳(3)

第四百二十六:泰子さんの話(323) 経営者と歳(3)


 一例として、今年の春の社員達の定期昇給を挙げる: 今年度の春の賃上げについて、会社の業績は決して悪くはないのだから、世間並には(=大手企業並みに)実施したいと私は考えている。

 他方でウチは零細企業だから、それに見合った(=大企業より少ない)賃上げで充分よいではないかという考え方もある。現実に世間の多くの中小企業がそうしている。


 けれども小さな会社だからこそ、社員のプライドは「一層大切だ」と私は考えている。ウチの取引先は大手が多い。そんな取引先に対して社員が卑屈になったりコンプレックスを感じさせるべきではない。賃上げを「大企業並み」に私が拘るのはこの理由による。実際年間休日の多さでも大企業の平均を上回るようにしている。小さな会社が背伸びしていると思うかも知れないが、大切と考えている。

   

 対して配偶者の考え方は否定的である、いや堅実と言えようか: 昨年2024年の全国の中小・零細企業の倒産件数は1万件を越し、これは過去11年で最多である。ウチはたまたま業績が好調だとしても、こんな時こそ息子たちの経営の為に、より一層多くお金を貯めておくチャンスだと主張する。


 私は配偶者を愛しているし、長年私を支えて来てくれて感謝している。彼女の病気がちな体調を思うと、相手を「言い負かして強引に自分の考えを押し通す」のに私はためらいを感じてしまう。精神的に女を苦しめたくないからである。


 会社は小なりと言っても公的な存在で、経営に私情を挟むのは厳禁である。社員一人一人だけでなくその家族を支えるものだし、人生も支えている。経営者の責任の重さを良く判っている。

 世間並みな賃上げを実施しながら、なおかつ配偶者の納得を得られる方策が無いものかと、私は連日頭を悩ませている。


お仕舞い

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