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第四百十:泰子さんの話(307) 退屈じゃあ!
第四百十:泰子さんの話(307) 退屈じゃあ!
年老いた(=私よりと言う意味)96の泰子さんと付き合っていて、様々に考えさせられる事が多い。人生とは何かを考えさせられるし、夫婦とは、幸せとは何かを良く考えるようになった。
私の幼年時代の初恋の人だったし、私が成人してからも泰子さんは美しかった。けれども、今では泰子さんを一種の精神的発達障害の人と見ている。叔父さん(=泰子さんの夫)は泰子さんと結婚して本当に幸せだったかと時々思う。こんな時、夫婦とは何かと思うのだ。
その意味で泰子さんは、私にとって(半面教師として)教えて呉れる先生である。例えば泰子さんは「退屈じゃ!」とよく言う。誰でも歳を取って仕事を辞めれば、やる事が少なくなるから多かれ少なかれ「退屈になる」ものと思う。泰子さんはそれを言うのだ。
けれども、歳が行って毎日が超多忙なんて事がもしあるなら、やや異常ではあるまいか。第一体が付いて行かないから、多忙という事が起き得ない気がするのだ。
つづく




