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第四百六: 泰子さんの話(303) 高齢者施設(2)
第四百六: 泰子さんの話(303) 高齢者施設(2)
選んだ介護施設Dは、近隣で最上等クラス。老後の生活で経済的に苦しい人も世に多いのを私は知っているから、書くのに気が引ける処もあるが、若い人は兎も角、五十代を過ぎたら(可愛い孫などへ投資はせずに)「自分の為に、お金を貯めておきなさいよ」と言いたい。今の時代、もう老後を子供に頼る時代ではないと思うからだ。
老後の生活は正に「金次第」である。若い時代に金が無いというのと、歳が入ってからのそれは、異質なものだ。若い時はいつか挽回出来ると希望が持てるが、歳が行けば挽回のチャンスはないから諦めしかない。諦めに不慣れな人には、絶望しかない。みじめなものだ。歳が行けば文字通り幸福はお金で買える。
その意味で施設Dに入居出来る泰子さんは幸せと言える。最後まで看取ってくれる。が、一方で泰子さんは一人娘に先立たれている。人生の大きな不孝だから、人はなかなかパーフェクトに幸せとは行かないようだ。
お仕舞い




