第三百八十五話:泰子さんの話(282) 仕事の流儀
第三百八十五話:泰子さんの話(282) 仕事の流儀
私のアシスタント(M子:20代)を入れた。元々文系の人間だが、エンジニアに作り替えようと考えて、毎日一時間づつその方面の訓練をしている。もう二ケ月になる。彼女一人ではなく、同年代の矢張り文系の新人男子も一緒に訓練している。訓練コースをXXX(=ウチの社名)大学と称している。毎日といっても、日々の仕事の合間に一時間ずつだから講師にも受講生にも負担は少ない。負担どころか概してウチの人間は元々暇なのだ。(大きな声では言えないが)第一私からしてヒマだ。
講師役は私だけでなく、設計のA君、経理のK君、修理係のN君らが交代で担当。M子は現在A君から3Dキャドで図面の描き方を勉強している。私が担当する時の講習の内容は雑談的で、物の考え方など体験的・経験的な話になる事が多い。単に「(私を交えて)三人での」リラックスしたおしゃべりに終わる事もある。
日ごろの彼らの仕事振りを横から眺めていて、そこからヒントを得て即興に講習内容を作る事もある。例えば: 人と対話する時は、(小さめよりも)大きな声を出しなさいとか、ユーザーや下請けと話したりメールをする時は「xxxと思います」ではなく「断定的な言い方・書き方」をしなさいと指導する。ビジネスマンとしての常識の話をするのである。
つづく




