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第三百八十二話:泰子さんの話(279) いとこさん

第三百八十二話:泰子さんの話(279) いとこさん


 お正月の3日目にM子(82)と一緒に食事をする機会を持った。彼女は私の昔々の初恋の女性Y子と同歳・同じ名家H家の親族で 互いに「いとこ」同士に当たる。M子は4年前に夫を亡くした。なお、先の私の初恋の女性Y子は現在認知症で、神戸に住む私から遠隔の札幌市内の施設に入所していて、私の事などもう覚えてはいない。


 そんな関係で、共通の話題を持つことになった結果、M子と親しくなっている。お礼の意味もあって、私がランチに誘いだしたのであった。


 ランチ後に安全運転で20分ほどドライブして、会社へ案内した。人は常にお喋りの為にお話が要るから、話題作りのためである。82のお婆さんに何が分かるかとは思ったが、私が開発や実験する実験室を見せた。技術賞を受賞した製品も見せた。


 殺人事件の現場みたいに部屋は殺風景で雑然としていたが、所謂男の仕事場である。技術など分かる筈はないと思ったのに、M子は鋼の部品を手にかざして眺めたり機械を覗き込んだ。ややもすると私をそっちのけで「その場に不似合い」なほど熱心だった。そこでの私の説明は簡単で概略的なものだったが、説明が終わっても酷く感心するばかりで実験室を去り難い風みせた。ヘンな事があるものだーーー。


「こんな物に興味がおありですか?」

「毎日こんな風な事をしているんですね、貴方はーーー」

「ええーーー、年中ね」

「面白いの? 子供みたいね、感性が子供」

「ーーー??」

「(4年前に死んだ)ウチの人とはまるで違い過ぎるーーー」

「ーーー??」


つづく

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