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第三百八十話:泰子さんの話(278) 寂しさ(2)

第三百八十話:泰子さんの話(278) 寂しさ(2)


 そんな中の一人M子さん(81)とお正月の3日目に、一緒に食事をした。普段はメールの交換ばかりなので、年に一度くらいは迷惑ではあるまいと思ってお逢いした。彼女は私の初恋の女性と同歳・同親族で「いとこさん」である。4年前に夫を亡くした。なお、私の初恋の女性は現在認知症で遠隔の札幌市内の施設に住んでおり、もう私の事など覚えてはいない。


 そんな関係で、共通の話題を持つことになった結果、M子さんと親しくなっている。お礼の意味もあって、私がランチに誘いだしたのだ。年寄りの男女が一体どんな話を一緒にするのかとお疑いだろうが、若い人達とは違い、人生の集大成として案外と親密できわどい話になる:


 血液検査の結果がXXだとか、お墓はxxx寺に予定しているとかである。財産として残りxxx万円(=具体的に数字をM子は教えてくれたが、泰子さんと同程度と分かった)の手持ちがあるのも話した。夫の失敗で約一億円相当の先祖代々からの資産を失ったとか、養子だった夫は金目当てで自分と結婚したに違いないと、M子は断言した。


 私は聞きながら何やら寒々しく感じ、喧嘩はしなかったものの、全く心が通い合わない夫婦というのがあるものだと思った。男の愛を生涯知らない女の人生の不幸と、深い悲しみを知る気がした。養子と言うのは扱いが難しいもののようで、M子は名家を継ぐ者として犠牲になった。

   

つづく

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