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第三百七十六話:泰子さんの話(274) 三日目の栄養失調の女(5)

第三百七十六話:泰子さんの話(274) 三日目の栄養失調の女(5)


 教えながら気づいていたが記憶力が良いのは確かで、「一度訊いたら忘れません」と本人も言う。ウチの配偶者もそんな風に言って私を悩ますから、女特有のクセなのだろうか。口を滑らしがちな世の多くの男達が、女の「この一言」に悩まされて来た筈だ。


 外にもこんな事があった:私がネットのページの印刷の方法で四苦八苦していた。もう数年間もやり方が分からず解決できないでいた。で、試しに女に「やり方」を知っているかと訊いた事がある。結果は無駄だった、女もやり方を知らなかった。仕方がない、無知同士だ。


 けれどもーーー、(素早く研究し解決策を見つけたらしく)女は五分後に私のそばへ来て、「社長、xxxをzzzして、ボタンPを押したら出来るようになりますよ」と教えてくれた。直ぐそばに立って「(教えた通り)早くやれ」と私をせかした。オタオタしながらその通りにやってみたら、全く上手く出来た。

「ねっ、出来たでしょ!」と、嫌に親し気である。教えてくれたのはいいが、何かヘンであった:こっ

ちは幼稚園の園児ではないのだがーーー。


 この時ようやく判った: 何故か、この女は私を上役と見ていないのだ、自分の父親と勘違いしている。(私が居る限り)女は決して会社を辞めないだろうという気がした。


 それはさておき、女は現時点で自分が知識として知らなくても諦めず、「やり方を自ら考えて探し出す」積極性と能力があるのを私は知った。「君は面接の時に、ソレが出来ると言わなかったじゃないか!」の二度目である。もし私がそう言ったとしたら、「(印刷方法なんて)考えたら直ぐ分かるじゃないの!お父さん」と返されそうだ。

 何となく女を見直した。(一見何でもなく見える)小さな物事に対処する上手さーーー、人の能力はこんな時良く判明する。


つづく


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