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第三百七十五話:泰子さんの話(273) 三日目の栄養失調の女(4)

第三百七十五話:泰子さんの話(273) 三日目の栄養失調の女(4)


 「君は入社の時の面接で、「英語が出来る」と自己PRをやらなかったじゃないか、え? どうしてだね?」と訊いた処、「いいえ、社長、「ちょっとだけ出来る」と言いましたよ」と応えた。そう聞いた覚えはあった気がしたが、印象に残らなかった位だから私が無視していたのかと思う。それにしても、ワレがワレがと自己宣伝が蔓延している現代において、「ちょっとだけ出来る」の控えめさに私は好感を持った。


 募集要項には「語学が出来るなら、割増しを付けます」と明記していたのにーーー、である。今になって給与を訂正して「割増しするよ」とは言わず、黙っていた。今更話がややこしくなるから、次回昇給時にプラスする事を(内心で)約束した。更に尋ねると「以前の会社で海外の取引先へ英語でメールを書いてました」と、女が付け加えた。まるで面接試験をやり直すような形になった。


 「ははあ、そうだったかい。書く文章も的確だし、それを面接時に積極的にPRしなかったのは、君は謙虚な人柄なんだなーーー」と感じた通りに言ったら、「褒めてもらって、嬉しいわ!」と抱きつかんばかりに跳ね返ってきた。ゴムマリのような女だが、ガツガツしないのは家庭と育ちが良いのだろうと思わせた。


明日へつづく


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