◎第三話: 「男と女と出世」の話
第三話:「男と女と出世」の話
1. 上役
「男・女・出世」と盛り沢山な題名だが、社内で以前起きた「事件」である。本来プライバシーの問題も絡むが、もう時効だから語っても良かろう。
有史以来、戦争が無くなった時代はない。人は余程戦争が好きで、戦争の主役は昔から男の範疇と決まっている。困ったものだが、戦いが好きなのは本性なのか。太古の昔にやっていたマンモス狩りは男の分担で、動物との一種の殺し合いであり、戦争であるからして、爾来刷り込まれたクセに違いない。
実際の戦場以外でもクセは抜け切れず、昼間は会社で出世競争で激烈に戦い、それでも足らず帰宅してからも好戦本能は抑えがたく、TV番組で観「戦」する:野球・サッカー・ボクシングの戦いを眺めて、自らの代理戦争として手に汗を握る訳だ。
それが終われば、スポーツ新聞でラグビーの戦いの勝敗を点検したりするから、どう見ても気違い沙汰。男は戦いと競争が大好きに出来ているから、女とは大分造りが違う。
「戦争・戦い」というと何やら語弊があるから、現代では「競争・出世」という言葉に置き換えられている。が、基本は同義語。出世と言えば、概してサラリーマンの為の用語。
そんな訳でサラリーマンなら誰だって、「戦い」の代償行為として出世をしたい筈だ。少なくとも出世しないより、した方がいいに決っている。 世間体もあり、奥さんの手前もあるし、それに経済面でも豊かになれるという副作用もあるから。
「出世は、人生の大事でないーーー」と斜に構えている輩は、大体において出世していない。多分負け惜しみで言っているのだから、信用しない事だ。そうならない為に、会社で出世するにはどうやれば良いか? 今回は、その話。
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一般に、私を含めて理系の人は出世するのが下手。体質に固体の成分が多くて、柔軟性に欠けるからだ。無論、貴方の事ではない、一般論として言っている。
出世を左右する存在として、サラリーマンに上役は付き物。 出世は上役の「引き」次第、と言っても過言ではない。辛いのは、子が親を選べないのと同じく、上役を選べない事だ。間違ってヘンな上役の下に付いたら、顔を見るのも嫌でそれこそ一生の不作になりかねない。実際私はそんな目に遭って、大学を卒業後入社した一部上場企業T社を、辞めた理由の一つになっている。




