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★第百六十四話:泰子さんの話(62)「六高生」(5)

★第百六十四話:泰子さんの話(62)「六高生」(5)


 けれども私は後で思った: 泰子さんは無論冗談で私に応えたが、本気だった部分があったかも知れない。結婚生活が「女として」夫から慈しまれなかったのではないか。月々充分な生活費を与えられるだけなら、それは単なる家政婦と変わらなかったのかも知れない。女は夫から常に愛されたいものだと思う。折角結婚したのだからーーー、と思ったかもしれない。


 先に書いたが、私は「暇を作らない・(時間を潰す為に)何時も一所懸命になる」のが信条。だから、仕事でも遊びでもボランテイアでも、自分のやる事・成す事に対価を要求したり手を抜く事は、基本的にしない。責任感と言うのとは少し違うし、完璧主義というのでもない:


 この信条で泰子さんという対象に接して、私は手を抜かない:何かと気に掛け、風邪が治ってよかったねとか、xxxさんから手紙が来たねなどごく些細な出来事であっても、泰子さんの気持ちになって一緒に悦んでいる。日曜ごとに(神戸市内に限るが)ドライブであちこち昼食に連れ出して会食もする。「千の風」の詩が本当に好きと聞けば、A2のポスターサイズに印字して額に入れて作ってあげた。


 何でそこまでするかーーーと思われるかも知れない。私はただ「(時間を潰す為に)何時も一所懸命になる」だけだ。会社の開発仕事に一所懸命、泰子さんに一所懸命、配偶者に対して一所懸命だ。目的は無いし見返りを求める訳ではない。私の生き方に過ぎない。これが為に、時々人から誤解を受ける:「一体何の(目的の)為に?」と。繰り返すが、目的はない。


 泰子さんも誤解しているかも知れない。今の私にその気は無いが、ヒロシが夫であったならーーー、と泰子さんは一瞬でも本気に思ったかも知れない。何となくそんな気がする。

(万が一にも仮にそう思ったとしてもーーー、泰子さん、ごめんね、僕には「二戸イチ」の配偶者がいるんだ。)


お仕舞い

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