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★第百五十五話:泰子さんの話(53)「戸籍謄本](4)

★第百五十五話:泰子さんの話(53)「戸籍謄本](4)


 聞いていて、私は泰子さん夫婦の関係が何となく分かる気がした。もしxxx叔父さんが遺言書さえ書いておけば、遺産は100%泰子さんのものとなった筈だ。書いてなかったから泰子さんの貰い分は75%となり、25%値切られた。25%はxxx叔父さんの姉妹に行ったからだ。


 泰子さんの財産は、先に書いた通り私から観たら「はした金」だから、仮に100%貰ったと仮定しても、はした金+アルファに過ぎず、依然として「はした」の域を出ない。


 巨額な遺産でもなかったのに、夫はどうして泰子さんの為に(遺言書を書いて)100%遺す方策を取らなかったのかと思った。切れ者の元会社経営者だったから、ついウッカリ作らなかったのではなくて、意図的に遺書を作らなかったのだ。

 夫が悪かったのか泰子さんが悪かったか分からないが、xxx叔父さんの親戚が優先されたようで、何となく泰子さんが可哀そうな気がした。


 泰子さんは(神戸の私の元へ来るまでにも)、常々「夫婦は他人じゃからな」と私への電話口で言っていた。口癖だった。今も「(夫が死んでも)そんなに悲しゅうなかった」というから、叔父さんの地位はついに「他人」のままだったのだろう。

 ひとごとながら、私は寂しい気持ちがした。


つづく


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