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★第百四十九話:泰子さんの話(47)「Cope」(2)

★第百四十九話:泰子さんの話(47)「Cope」(2)


 「弟・妹」達の関係を良い意味で考えれば:例えば私が人生で普通の道を選ばず、中年になって(人から見れば非常識に映る状況下で)金の無い失業中に単独ドイツまで出かけるリスクを冒してまで起業した。これは(今に思えば)無謀に近い決断だった。実は高三で家出した「妹の無鉄砲さ」と非常に共通している。


 外にも、80近くになって、私が気違いのように集中して次々世に無い新製品を複数以上開発したり発明出来たのは、末の弟の(物事に集中し過ぎる)発達障害と非常に共通している。周りからも時々露骨に言われるが「普通じゃない!」。82の顔を穴のあくほどじっと見つめて人は褒めるというより、「不思議がる」のだ。「何か悪い事をしたーーー」ような気分に私はなる。


 これらたった2点を挙げただけで、私は「普通」ではない気がする。だから若い人達に向かって、「私と同じようにやれ」と私はよう言わない。普通の人には出来ない気がするからだ。


 反対に、弟・妹達と共通した悪い面が私にはある:自死した直ぐ下の弟と同じだ。冒頭に書いた通り、非常に神経質でストレスを受けやすい。物事を深く考え込み過ぎる。別の言い方をすれば、うつ病になるかどうかの崖っぷちで、地獄に落下するギリギリの地点で、なんとか「踏み留まっている」感じが自分には何時もある。踏み留まれなければ、弟と同じ結果になってしまう。


 整理しようとした冒頭の古い手帳に、ぎっしりと「踏み留まり方」の具体的な手法が細かく記載してあった。手帳に従って当時私はそれを実行していた:手法の骨子を分かりやすく言えば、「自分がくよくよ思い悩むのは、悩む為の時間があるから悩むのだ。悩む時間を無くしてしまえば、悩みようが無い」というものだ。簡潔で実に当たり前だ。


 これは:無駄遣いするのはお金があるから無駄遣いするのであって、お金を無くしてしまえば無駄遣いしようがないというみたいなものだ。小人閑居して不善をなすという言葉もあるが、要するに「バカは暇があるとロクでも無い事を考える」というのと共通している。


つづく


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