ふりかけになる
書いた通り岩岡地区は何処までも稲田と畑ばかりの平坦地だが、そんな中でところどころに、まるで砂漠の中のオアシスみたいに、小さな林が点在する。遠くからでも目立つから、訪ねて行ってみると大きな木々があり、大概そこは地区の神社だと分かる。近隣の中で(会社から徒歩3000歩位)一番大きなのは岩岡神社で広い境内を持ち、近畿遊歩道のコースにも経由地として紹介されている。
源流を知らず何処から流れ出るのか、近辺に幅数メートルの小川もあり土手の上から覗き込むと、鮒や鯉が棲んでいる。時々釣をしている人を見かけるが、今の子供は塾に忙しいようで、釣っているのは大人だが、土地の人ではないかもしれない。秋には近所の神社から神輿が出て、ウチの会社の前をワショイ・ワショイと太鼓を打ち鳴らしながら通る。掛け声は勇ましいが、最近は軟弱だから大抵神輿の下に車輪がついてある。それでも、何も無いより神輿があるだけましだ。
もし「ーーー小ぶな釣りし彼の川♪」という故郷の歌を真に受けてノスタルジックに浸りたい向きには、岩岡は廃れる事無く今でもそのままの土地柄だ。会社は幹線道路(と言っても、往復で二車線)沿いにあるが、徒歩で三分も道を外れると田んぼだらけ。昼休みには会社内で食べずに徒歩10分程の処にある小さな神社の境内まで出かける事が多い。一本だが太い桜の木もあるから春には、おにぎりを食べていると降る花びらがふりかけになる。




