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◎第九十九話:「絵画の授業」の話(改訂版)

★以下は、第26話で一度書いたものです。ですが、自分で読み直しておかしな処を書き直しておりましたら、ついに殆ど全部に手を入れる事になってしまいました。それで、一部だけを修正するのを中止して、全部分を書き直して「改訂版」として再投稿をすることにしました。なお、旧の第26話は既に削除いたしました。


◎第九十九話:「絵画の授業」の話


 大事な事は予期しない時に何気なく起きて、何時までも忘れない。

   *

 中学三年の絵画の授業だった。その日は何時もの女先生が産休で、臨時教員の若い女の先生が代行で教室へやって来た。若くてどこか頼りなく感じたけれども、戸外で「写生をしよう」という事になった。


 クラスの全員は校舎の外へ出て一塊になりながらも、めいめい思い思いの場所に陣取った。中学校は下町にあった。周りは殺風景で写生に耐えるだけの風景は乏しく、在るのは青い空に流れる雲と、ごちゃごちゃ立ち並んだみすぼらしい住宅と点在する鉄工所ばかり。それにもめげず写生を開始した。鉛筆で薄く下書きをして、後で水彩絵の具で色付けをするのである。


 絵心は昔も今も乏しく下手だし、だからこそ嫌いな授業。それでも適当な場所に腰を下ろし、画用紙の上に目の前の景色を鉛筆で何とか写し取りながら、描き始めた。


 絵画は高校への受験科目にも無かったから、そんな面からも熱が入らない。鉛筆画がやっと完成して、さあ色付けという段階になったが、そこへ巡回していた女先生がたまたま通り掛かった。嫌な予感がした通り、傍へ寄って来た。


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