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寿命の根幹を支配する

 共通したクセというのは、人参やホウレンソウを沢山食べる事ではなかったし、運動をよくするからでもなかったし、お金が沢山必要でもなかった。更には、性格が几帳面かスボラも無関係で、独身か夫婦者かも関係無かったし、セックッスの多寡も無関係、仕事の有無でもなかったし、住処が都会か田舎も無関係だったのだ。外に考え得るどんな条件があるだろうかーーー?

 AIが突きつけた正解は、「よく読書をする」事だった。年寄りの長生きの為には病院を建てるよりも、多くの図書館を作りなさいとAIは示唆した。


 結果だけを教えてくれるが、AIは「何故か?」までは教えてくれない。後付けで人間が理由を考えなくちゃいけない。「読書好き」は、「知的好奇心が強い」のを意味しそうだ。言い換えれば、歳が入っても「脳が若々しい」という事か? となれば人間の寿命を決めるのは、筋肉の強さでも肝臓や心臓の力でもなくて、実は「脳」だと言えるのだろうか。そんな気がしないでもない。少なくとも、大腸が読書に関係しているとは思えないからだ。


 寿命の根幹を脳が支配しているとするなら、目や肺の力は二次的になるから、幼い頃の肉体的な虚弱体質や視力の弱さは寿命の支配に無関係となり、私が今も元気にしているのは成る程と納得がゆくし、AIに言わせれば何の矛盾も無く三者に充分な整合性があると云えそうだ。


 それに先のエッセイで私の長年の習慣として書いたが、新聞を読んでいて、出来るだけ統計数字を覚えようと心掛けているのも脳の育成に役立っているかも知れない。それが全て寿命に関係しているとなれば、のんびり構えて筆者のエッセイを流し読みしていた人も、今後は本腰を入れて一字一句うかうか見逃してはおれまいて。


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