熟年離婚の話ではない
次に話が変わるが、ウチが属する業界では30年前には同業者が10社以上あった。今では3~4社に減り、昨年にはついにウチに続く二番手が経営不振に陥った。元来が老成した感じの若い経営者だったが、ウチが出し抜いたり派手にやりまくった訳でもないのに、勝手に自滅している。元々地味な業界だが、時間の問題でウチ以外の「その他」が無くなるんじゃないかと観ている。
業界の様子を眺めて、威張るというよりも「何故、そんな結果になったのか」と筆者は最近よく考える。物事を比較して考えるのはとても大切だ。
例えば、ウチには幾つかの製品の中の一つにAという製品がある。他社もブランドこそ違うが同種製品を扱っている。品質や価格にも大した差は無いから、その意味で五分五分だ。
けれども、国内でA製品を売っているのはウチ一社だけである。確かに売るのが難しい商品なのだが、ウチの独壇場となっている。同業他社がA相当製品を「何故(殆ど)よう売らないのか?その理由は何だと思うか」と、社内で有力な社員二人に訊いてみた。考えた末に「分からない」と彼らは応えた。
要点の外れる返事をするよりましと考えたかもしれないが、明確な理由がある筈なのに「分からない」ではいけない。が、多分頭が悪いから分からないのではなく、同じ環境に長年どっぷり浸かってやっていると、日々のやり方が「当たり前」過ぎて、問題が存在すること自体に気付かないのだ。気付かなければ解決のしようがないから、こういう点は経営者が最も警戒すべき処だ。
正しく提起された問題には、解答の半分が含まれているという言葉があるが、問題に気付きさえすれば会社は崩壊せず、大抵命が助かる。
(★断っておきたいが、ここでは熟年離婚の話を議論しているのではない!)
会社というのは、ボンヤリしていると知らぬ間に潰れるものだ。不思議な事に大手になるほど、潰れた理由が当人に分からない。証拠に、助っ人として、大概外部から招かれて新しい社長が来るのを見ても、これが分かる。ウチの業界の他社たちも、そんな処だろうが、助っ人は来ない。これでは名経営者どころか、居ないほうがましな経営者になってしまう。




