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◎第九十三話:「年末賞与」の話
◎第九十三話:「年末賞与」の話
昨年の年末賞与で一番沢山貰った社員は191万円、最少額の人は10万円だった。
一般の会社で賞与といえば、(例えば)1.5ケ月分支給などと決められて、どの社員も金額が決まる。多少の評価のプラス・マイナスが加算されるが、そうだとしても先のように極端な差は付かない。だから、ウチが随分と乱暴な会社と映るかもしれない。
支給のシステムと評価の仕方は事前に公表してあり、情実は混じらない。乱暴と言うなら、会社が乱暴ではなくルールがそうなのだ。これは社員達を出来る限り「公正に」評価しようとして、「努めた」結果だというのが正しい。
中には損益分岐点を割った不成績な社員もいる。こういうのは心ある経営者を困惑させるのだが、公正という意味では(首にも減給にもならず、精神的にも肉体的にも迫害を受ける事は無いが)賞与は無しですよ、と事前に伝えてある。会社は慈善事業ではないのだから、当たり前でもある。それの仕返しという訳でもないが、ウチのような零細企業では珍しいと思うが、若くても年収が一千万円を超える社員も存在する。




