0:さる家政婦のご挨拶
こんにちは、ランチです。
花の16歳です。身の丈に合わない家政婦やってます。でも花の16歳やって15年のベテランです。とうとう今年の春に実質三十路を越しました。もう涙も出ません。
あと、雇い主には毎朝、ニタニタと涎を垂らしながら「え、お昼?まだ早いよぉ~?プッ、、プスプスプス、、、」と言われます。うるせえんだよ。それは名づけた酔いどれバカに言いやがれください。
ちなみに、ほんとうに雇い主が私を皿に盛ってお昼ご飯にむしゃぁしそうなので、朝の一回しか会わないようにしています。ガタブルガタブル。
さて、私の身の上話はこれ位にしましょう。飽きたでしょうし。
さぁ、皆さん気になっている、というか既にお気づきでしょうが、私の雇い主こと、ジャスティン=イアン略して「ジャ◯アン」。わたしはちょくちょく井戸に向かって叫んでおります。ええ。やっていられませんから。
ああ、また話がそれました。そう、この「ジャ◯アン」ことイアン様は名前負けも甚だしいことながら、なんとあの、且つては悪逆の限りを尽くしたと言われる、悪名高き巨人族のお貴族様なのです。しかも巨人族の王。蛮族王とも罵られたかの巨王の分家筋にあたられるのでございますです。はい。
え?何かバカにしてないか?ええ。勿論ですとも。バカにしているに決まっているじゃありませんか。
私は、被雇用者の義務として守秘義務くらいは爪の先程は忠実にして完全に守っておりますが、それ以外、つまりいくら雇い主としてふんぞり返っていたとて、お給金が振るわれるときくらいにしかイアン様に敬意なんぞ払いやいたしません。
もったいない。
減るじゃあありませんか。
ああ、そうそう。先程「身の丈に合わない」と言ったのは、勿論、身長的にでございますよ。ほほほ。