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魔法がある異世界を魔力無しで生きるには  作者: リケル
第二章 勇者と金属と大地と
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七十六話:土との遭遇・前編

 


 現在、ジーニャさんの手に胴体部分を握られていて、ジーニャさんの指の隙間から腕が出ている形だ。 

 そこから脱出しようともがいているけど、抵抗虚しく抜け出せていない。

 で、顔だけそれっぽい物に置き換えたような人形が動く様は…まるでジーニャさんが人形遊びをしている様な感じに見える。

 と言うかこいつ…しっかり動くんだな。

 関節とか無いなぁ…って思ってたけど人の関節と動きが同じだ。

 指は再現されてないから精密な事は出来なさそうだけど…



「こらっ!ちょっと!暴れないで!」


「随分と生きがいいね…」


「お陰で…壊れちゃいそう…ですけど!」



 激しく暴れる人形が逃げないように、かと言って握り潰さないように力を加減してるんだろうな。

 時折、抜け出せそうな時があったりする。



「これ以上暴れるなら壊しちゃいますよ!」


「もしくは足を壊すとかもいいな」



 あまりにも暴れるのでジーニャさんとダダンさんが脅し気味にそう言う。

 その直後、土人形は動くのを止めてジーニャさんの方を見る。

 で、大人しくなるかと思ったら…より一層抵抗が激しくなった。

 抜け出そうとする動きから…捕まってる手に攻撃している感じだ。



「わっ!」


「おぉ!」


「きゃ!」



 その様子の変化に三人共それぞれ驚いた。

 だけど…それでジーニャさんが手放す事は無かった。

 ただ、さして痛くも無いみたいだし、単純に驚いただけみたいだ。


 それで、だが…これは言葉が分かっているのか?

 明らかに言葉を聞いてからの反応だった。

 そういえば昼間の鑑定の内容を思い出すと…これが何かの役割を持って行動しているって出てたな。

 となると簡単な言語くらい理解できても…不思議じゃない…よな?

 これは壊されるって言葉に反応して抵抗しているのか…? 


 いや…だとしたらおかしい。

 動けば壊すと言われているのにより動きが激しくなったんだから。

 これは…むしろ壊して欲しいのか?

 だとすれば色々と合点がいく。


 正確に言うと鑑定の結果は、捕まった為に役目を果たせないと判断され放棄…だったっけか。

 少なくともあの二人組に捕まった後、少なくとも土人形がSOSを送り、操っていた奴が放棄の判断が出せるタイミングがあったって事だ。

 問題はそれが何時(いつ)なのかって事だが…



「あぁもう!全く!」


「ちょっと待って!ジーニャさん!」


「何ですか!邪魔しないで!」



 握っていない方の手で人形の頭からベチッと潰そうとするのを止める。

 まぁ結構強い力で握ってたみたいで少し変形してるんだけど…まだ大丈夫そうだ。



「ちょっと時間を頂戴!」


「時間?」


「そう、あまり長く掛からないからさ」


「なら…いいですけど…はい」



 握った手ごと、さっきより少し元気のない人形を突き出される。 



「ありがとう!」


「はいはい」



 ジーニャさんに軽く礼を言ってから、その手に握られている人形に視線を移す。

 見た目通りなら、こいつには言葉を話す機能は付いてないだろう。

 顔はパーツごとに大まかな凹凸は付いているけどな。



「幾つか質問をしたい、肯定なら首を縦に、否定なら首を横に振って、いいね?」


「まさか、そんな事する訳ないじゃない…」


「いや…どうだろうな?」



 外野二人のフラグと期待に応えるかの様に、土人形は首をブンブンと横に振る。

 どうやらこれは、意思があると見ていいのか?

 ただ…どうにも天邪鬼みたいな感じだ。

 ってさっきまで壊されようと行動してたんだ。

 挑発して壊されようとするのは手か。

 で、そんな人形の行動を見て外野二人は驚いた様子だ。

 だがそれよりも今は、続けよう。



「まず君は…何らかの役割を果たすために生み出されて行動している…間違いないね?」



 暫しの沈黙の後、肯定の意を示す様にコクリ、と縦に首が振られる。

 ただ、人形の表情は変わらないからどういった心境かは分からないな。

 感情があるのかさえもだ。

 …まぁいい、話を続けるか。



「次に、君の…仲間なのかは知らないけど、それは橙色の髪の男と紫色の髪の女の二人組に捕まったよね?」



 これに関してはコクコクと何度も頷いていた。

 どうやら隠すつもりもないらしい。



「ちょっと!聞いてないよ!?」


「あぁ、詳しく説明してもらおうか?」



 あれ?話忘れてたっけこの話?

 まぁいいや、今はこっちが先だ。



「ごめん、ちょっと後で!」



 説明は後回しにしよう。

 で、次に質問だ。

 サクサクと行こうか。



「君と同じ土人形はここら辺の荒野に何体も居る?」



 これについても、肯定。

 即座にコクコクと首を縦に振られた。



「自分と先にいった二人組以外に人に捕まった仲間が居る?」



 これについては即座に、首が横に振られた。

 つまり捕まったのはこいつと、あれだけみたいだ。

 …謎の生き物を目撃したけど捕まえられてないってのとも一致するか。



「魔物に襲われてやられた仲間は?居るの?」



 人形は即座に反応して、肯定だった。

 う~む、段々と分かってきたぞ…

 ちょっと趣向を変えて、聞いてみるか。



「一度やられたら、これはそのままただの土に戻る?」



 これについても肯定。

 やや時間があったのは…迷っていたからだろうか?

 いや…もしこれを答えたら壊されなくなるか…とかそのあたりを考えていたんだろう。

 もしくは…全く違うこと…?

 まぁいい、次だ。



「今、この村近辺に他に土人形は居る?それとも君一体かな?」



 これは少し悪い質問をしてしまったな。

 さっきよりも時間を置いて、肯定の返事が返ってきた。

 だが、少なくとも土人形の位置を把握できる力はあるのか。



「で、最後の質問になるんだけど…」



 そう、これで最後の質問だ。

 まぁこれまで通りに答えてくれるかどうか。

 まぁ聞くしかないんだけどな。

 で、その土人形に刻まれた目から自分も目を逸らさずに、聞く。



「今までの質問は…土人形じゃなくて、それを通して見聞きしてる君が受け答えしていた、だよね?」







 


 相変わらず良いサブタイ思いつかない…

 また長くなる気配だったので分割しました。

 後編は明日くらいには上げます。

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