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魔法がある異世界を魔力無しで生きるには  作者: リケル
第二章 勇者と金属と大地と
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百八話:日輪の予知者

 


「まず話し合う前にこの状況をどうにかしませんとね…」


「確かにこれじゃあね…」



 取り敢えず、話すよりも先に消火を優先しよう。

 こんな炎上した中でまともに話し合いが出来る気もしないし。



「さて、少し待ってて下さい」



 そう言うと少し身構えた後、魔力を高めていく。

 高めて…いってるんだが…

 なんだ?…これ!?


(滅茶苦茶…)


 感知で捉えてる反応が凄まじい。

 例えるなら…ザンギさんの魔圧が当てはまるだろうか?

 ただしその威力は並じゃない。

 ザンギさんのそれがそよ風と同等のレベルに感じられる程…この場にはキリアキの魔力が溢れかえった。

 そして拡散し、火の粉を散らしていく…



「流石にこれが手っ取り早いとはいえ、やりすぎましたかね…?」


「やりすぎですよ!もう…」



 広がった魔力は突風の様な衝撃さえ伴い、周囲の炎を散らしていた。

 もう周囲に火の気なんぞ無い。

 ついでに、殺気立っていた住民達の戦意まで見事に奪ったな。

 敵か味方か測り損ねていた連中は軒並み手にした武器まで捨ててるし。



「手間が省けて良かったと喜ぶべきか、それとも…」



(この一手を許した事を後悔すべきか?)


 まさかあれだけの事をやってのけるとも思ってなかったしな。

 少なくとも正面衝突するって選択は奪われた訳で…



「さて、それでは話し合いと行きますか」


「あぁ、そうだな」



 ただ今言えることは、ここで取り乱す訳にはいかないって事か。

 これだけの事が出来るのに、わざわざ話し合うんだ。

 向こうにも何かあると見るべきだろう。




 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆




「やっぱお茶は落ち着くわぁ…」


「特にこんな火に囲まれた後は特にいいですねぇ…」


「いえいえ、こちらこそこのような物しかお出しできず…」


「謙遜はよくありませんよマダム?

 良い物は良いと評価されるべきです」


「ヘブドマス国ではこういった物は?」


「ありませんね、豆から作るお茶が中心でして…」


「あぁ、成る程」


「久々に葉から作るお茶を堪能させて貰いましたよ」



 さて、場所は変わって村長宅。

 テーブルを囲んでお茶会の様な話し合い…

 大変に和やかムード…では無いな。

 穏やかなのは俺とキリアキだけで、他のイロンの町二人組やら村長は気が気でない様子だ。


(あれだけの力を見せれば…)


 まぁでも話し合いって言ってるんだし、いきなりお前ら虐殺するから…ってのも無いだろ。

 もう少し肩の力を抜けないもんかねぇ…



「それで、場も改まった事ですしここで今一度自己紹介でも…

 私はヘブドマス国勇者の一人、キリアキ・ブレイディアと申します」


「あぁ、テッシンだ。」


「ジーニャです」



 それから順番にダダンさん、村長と自己紹介が続いていく。

 ちなみに今この場にサヴァトは居ない。

 今頃外でパラスケヴィを磔にして住民達と共に投石でもやってるんじゃないか?

 とまぁそれは置いておこう、関係無いし。

 とにかく、俺も含めて五人がこの話し合いに参加してる訳だ。


(私も居る…!)


 あぁそうだな、六人か。

 まぁノームは聞いてるだけで話には参加出来ないけど…


(ROMってる)


 …突っ込まないぞ?

 それで自己紹介も普通に終わったようだし、話に集中するとしよう。



「勇者って事は、やっぱあの男みたいに?」


「はい、恥ずかしながら日輪の予知者などと言われております」


「予知者…」


「このような事態も予知出来ない未熟者ではありますが…」


「その代償は高く付くんじゃないかな?」


「えぇ、存じております」



 ちょっと強気に踏み込んでみたが、あっさりと返されたな。

 なんだか拍子抜けって言うか…不気味って言うか…


(何かある…?)


 だろうなぁ…

 恐らくこっちの意表をつく奴。



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