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魔法がある異世界を魔力無しで生きるには  作者: リケル
第二章 勇者と金属と大地と
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百五話:炎のタイマン

 

 俺が注意を引いてその隙に二人が火炎瓶を投擲、更に追撃で火炎で辺りを満たす。

 結局色々と話して考えた結果、この作戦に落ち着いた。

 と言うか、金剛体の魔法を攻略する手立てがこれくらいしか思いつかなかったってのもあるけど。

 実際打撃に関する防御力は鉄壁以上だ。


(鉄じゃなくて、金剛石)


 あ、それ言おうと思ったのに!

 …まぁいいや。

 こうしたのも、金剛石ってこういう効果があったりするからだ。

 


[金剛石]

 引っかき傷や摩擦に強い鉱石。別名ダイヤモンド。

 衝撃にはやや弱いが、魔力を通すと衝撃にも十分に防御力を得られる。

 熱伝導率が非常に高い為、熱や冷気にさらされる環境には不向き。

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 火を着けたら燃えるのは知ってたけど…これは知らなかった。

 奴がオーバーリアクション気味に火を避けていたのはこれが原因だったんだな。

 つかこれ知ってたらあの時負けなかったんじゃね?


(それは負け犬のセリフ)


 そう言われると傷つくな…


(ほら、さっさと倒して)


 ってかなんだか風当たりキツくない?


(別に…普通)


 もしかして最初に火攻めしようって言われて却下されたの根に持ってるのか?


(…全く)


 そんなにすねなくても良いって、悪かったよ。

 でも、あの二人と話し合って決めるって過程も必要だと思ったし。


(それは、確かに…)


 今も、事前に打ち合わせてしおいて良かったって思う場面だ。

 わざとアイツが叫んだ瞬間…気に留めないであろう場面を狙って、響鳴に近い感じの甲高い音で合図を送ってきたし。

 おまけにこうして村人達の協力までこぎつけてくれるとは…



「だあぁぁ熱っちぃぃぃ!」



 さて事前の作戦通り、やはり火と言うか熱気には弱いようだ。

 火柱から飛び出てきたその姿に、纏っていた輝きの光は無い。

 おまけに所々に火傷を負っており、小手を嵌めている両腕は特にひどそうだ。

 それを確認して背負うように持っていたスコップを抜き放ち両手で構えながら突っ込む。



「獣牙!」



 勢いを乗せたフルスイングでの一撃は腕でガードをとった奴の体勢を崩し…



「噛切!」



 振り下ろした一撃が隙だらけの体に、逆袈裟の裂傷を作った。



「あぐぅ…!」



 よし!まともに一撃入った!

 熱の周りを遅くするために金剛体の魔法を解いたのがアダになったな!

 おまけに今の一撃で火の傍に吹き飛ばしてやった。

 徹底的に火の傍から離さず、魔法を封じ続ける。

 これが恐らく、今できる最高の金剛体封じだろう。




「てめぇ…やりやがったな…!!」


「何の事だ?」



 そもそも一度も一対一(タイマン)の勝負だなんて言ってないぞ?

 つか最強云々言うならこの程度の多対一くらい、しのいで見せろよ。

 不意打ち一つで窮地に立たされるのは駄目だろ。

 それに、そもそも…



「彼らを敵に回したのはお前だろ?」



 更に、今また甲高い音が響く。

 それと同時に、今度は俺とパラスケヴィの戦っている周囲を囲むように、いくつかの火炎瓶と火が投げ込まれる。

 どこか気合がこもっているように感じられるのは気のせいじゃないだろう。

 この炎はある種、怒りの体現だ。

 勿論、平穏を荒らされた村人達の、な?

 これだけあればもう金剛体の魔法なんて、自分の身を焼くだけの魔法になるだろう。

 どんどん火傷が悪化していくだろうよ。


 それにこの火は俺が合図を出すまで、消火がなされる事はないはずだ。

 お前に魔法を使わせないし、この場から逃がすつもりもない。



「これで…本当に一対一だ!」



 だらり…と頬を伝う汗をぬぐいながら、そう叫ぶ。

 火のお陰で、もう戦闘に介入される事は無いだろう。

 周りから助けられる事も無いし、誰かが介入する事に気を使う必要もない。

 思う存分やれる状況だ。

 火が消えるまでに…なんて事を言うつもりはない。

 一気に仕留めてやる!




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