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魔法がある異世界を魔力無しで生きるには  作者: リケル
第二章 勇者と金属と大地と
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百二話:旗は立っていた

 

(さて、それから幾千の時が…)


 流れてないからな?

 軽くノームへツッコミを入れつつ、顔に出さない様にしながら会話を続ける。



「…と言うのはどうかな?」


「ふむ…悪くない」


「私はいいと思いますよ?」



 さて、結論から言うと…特に大きく揉めた感じにはならなかった。

 こうして三人であーだこーだと議論してるくらいには良好だ。

 いや、こう腹を割って話した分信用も出来るから…かえって良い事だったと思う。


 やはりと言うか当然の事だが…どうにも不信感が拭えない事を伝えた時の二人の反応は予想できたものだった。

 つか、そう言われて流石にヘラヘラとされてたらそこで話は終わりな訳だが…

 信用できそうにも無いしな、そんな奴。

 …と、話が逸れたな。


 それで…信用できないと遠まわしに言われてやや怒り気味ではあったが、心当たりは無いわけではないからか、強くも言い返せない様子だった。

 で、それから本当に協力するかどうかの確認に入った。

 まぁ、あまり無駄な話を引き伸ばすのはこの状況で色々と良くないしな。

 結局の所、協力するって言っても肝心な所で尻込みされないってだけで良いし。

 彼らを勇ませすぎて失敗してもそれはそれで問題だからな。

 そこら辺を誤解なく伝えた所、特に何事もなくダダンさん・ジーニャさん共に決意を固めてくれたようだ。

 ここまで来ると俺の目が正しいかどうかだと思うから…大丈夫だと信じたいってのもあるけどさ。


 そうして現在、どうやって三人で戦うかを考えている最中だ。

 まぁ元々一人で行う予定だった作戦を三人用に練り直してるだけだけど…



「しかし、中々に遠慮のない作戦だな…これは」


「一筋縄じゃいかないのは目に見えてるしね」


「ってかよくこんな事、一人でやろうと思ってたね…」


「周囲が危険どころか、相打ち覚悟じゃないか」


「あ、あはは…」



 取り敢えず、笑ってごまかそう、そうしよう。

 だって…躊躇したら駄目だって分かってるし。

 つかまともにどうにも出来そうには無かったしな。



「とにかく、これでいいかな?」


「あぁ、概ねこれでいいんじゃないか?」


「問題が出てきても、臨機応変に対応できそうだしね」


「じゃあ、決まりで。」



 まぁあまりフリーダムに動かれても困るんだけどな…

 そこら辺は彼らの良識に任せるとしよう。


(それで、先ほどの会話で旗は立ってるから…)


 …フラグの事か?

 そういえばさっき、確かにダダンさんがもう村の方に先回りしてるかもって言ってたけどさ。


(Uh~、きっと来る~)


 つか言い直す気は無いのな、旗。



「と、そろそろ最寄りの村に着くはずだが…」


「確かに、どれどれ…」



 なんてやりとりをしていたら、御者台で馬を操っているダダンさんが独りごちる。

 それにつられて、ジーニャさんも馬車から御者台に顔を出して確認しに行った。

 …なんだか少し落ち着かない。

 思ったより二人共そわそわしてるな。



「あぁ…見えてきましたね!」


「良かった、ここにはまだ来…」


 キィィィ…ン



(この音は…?)


 またもや何かフラグが立つ前に、甲高い音が周囲一帯に響き渡る。

 確か…響鳴だっけか?

 これ、シュルツ村での非常事態の合図になってたんだよな…


(もしかしなくても?)


 あぁ、そうだろうな!

 俺も急いで馬車から外の様子を確認する。

 丁度、三人が顔を向き合わせる形になった。



「今の音って!」


「あぁ!響鳴だ!」


「急ぎましょう!」



 どうやら本当にフラグは立っていたみたいだ。

 奴かどうかは分からないけど…でも何か有ったことは間違いないだろう。

 となると悠長にしている時間はない!



「馬は任せて!二人は一応…準備をお願い!」


「あぁ!」


「はい!」



 俺はリュックを持って馬車から飛び出すように御者台に移り、二人は逆に馬車に引っ込む。

 馬は数日簡単にだが教えてもらったからな。

 引っ込んだ二人には悪いが、ここからは速度重視って事で…

 とにかく多少乱暴だが、急ぎ足で馬車を村へと向かわせていった。

 願わくばまだ何も起きてないと信じて。



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