第四話:宿屋へ
『お前よくここまでたどり着いたな…』
『まあね。サワラ砂漠はよく行き来してたから慣れてるし』
どうやらネロアは何回かサワラ砂漠を通った経験があるらしい。 ネロアは普通に言ったが、ディオルガにしてみれば舌を巻くほどのことである。
『ところでお前は宿泊の予約はとってあるのか?』
え?とネロアは言った。
『何も知らねぇでここまで来たのか…しょうがねぇな…俺の予約先で一緒に泊まるか?』
以外であったのかネロアはひどく喜んだ。
『本当かよオッサン!ありがとな〜』
『ちょっとこっち来いネロア』
『ん?何?』
ネロアがディオルガに近づこうとした瞬間ディオルガの拳がネロアの頭に直撃した。
『痛って〜』
『俺はオッサンじゃねぇ!ディオルガ=ハンリーだ!ディオルガと呼べ!』
この男どうやら短気らしい。
『わかったよ〜ディオルガ…』
『わかればいいんだ…じゃあなじじい!明日また会おうぜ!』
記録委員のおじいさんは微笑を浮かべてああ、と返事をした。
ディオルガは宿屋の方へ歩いていき殴られた拍子に倒れていたネロアは慌ててディオルガの後を追った。
途中で振り向きネロアは記録委員の方を向いて叫んだ。
『じゃあなー!じいさんまた明日なー!』
老人は手を振りながらつぶやいた。
『全く…走ってここに来て走って帰っていきおったわい。忙しいガキじゃな…まぁ本当に大変なのはこれからじゃがな』
空はもう少しで赤く染まり、漆黒の闇が訪れる。
そして明日には生と死をかけた戦いがはじまるのだ――。