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世界の寵児  作者: もち
犬はどこでもついてくる
56/63

「社を出て自立します」


 私は宣言した。


「どこにいく?」

「自立って、何をどうするか考えてるのかい?」

「どこまでもお供するっす」

「ええと……この前売った写真のお金で、どこかにお店を作りたい……です」


 写真のお金はかなりたくさんもらえたみたいなんだけど、一時的な収入だ。金額を言われてもぴんとこなかったので、どのくらいの価値かと聞いたら家が買えるくらいってことだったので、お店を作ろうと思い立ったのです。

 何のお店かといったら、喫茶店です。喫茶店でコーヒーを入れながら、たまにくるお客さんとお話したり。実は私の憧れの職業だ。


「何を売る店なんだ?」

「あのね、あのね、喫茶店!」

「……マリカはそこで何をするんだ」

「こっちにはないのかなあ。飲み物とか、軽めの食べ物を用意するお店なんだよ」

「マリカがそれを用意するのか?」

「うん。……ちゃんと、これから練習するよ」


 ヘルさんが心配そうに聞いてくる。これでも色々考えてるから大丈夫なのです。


「写真が売れたからね、実際見たいなって人とか、いると思うの。だから、そういう人たちが、お客さんで来てくれるんじゃないかなって。そういう人にね、飲み物とか買ってもらって、素敵なお店だったらそのうち、私を見に来るんじゃなくて飲み物を飲みに来てくれるんじゃないかなって思う。だから、飽きられても大丈夫!」


 この計画は結構自信がある。話し切って、皆……と言ってもヘルさんクイさんエルテくんの3人だけなんだけど、その人たちを見回した。

 皆さんぽかーんと、そう、ぽかーんとしか言い様のないお顔をしている。あれー……?


「だめ?」

「……いやー、駄目って言うか……。いや、マリカがやりたいなら、手配はするけど……。危ないんじゃないか? 多分ものすごい人数が押しかけて来るよ」


 クイさんが困り顔で言う。お客さんが来るのはいいことじゃないか。


「物珍しさにきたお客さんをどれだけ取り込めるかがカギなんだよ」

「マリカがつくった料理を出すわけだろ? 物珍しいどころじゃないだろう」

「じゃあ誰かに作ってもらって、私はお客さんに出す係り」

「駄目だそんなことをしたら他のやつらに触られる」

「そういうお店じゃないよ! 健全な喫茶店だよ!」


 ヘルさんは何か勘違いしている。キャバクラ?みたいなのを想像してるに違いない。いつもえっちなことばっかり考えて不健全だ。


「でも警備の問題もあるから……考え直したほうが」


 珍しくクイさんが弱気だ。警備って言ったって、いつまでも守られて閉じこもってるだけって訳にもいかない。それに、そこもちゃんと考えてある。


「お店ができたら、エルテくんを警備員として雇えるし」

「え、俺ですか? 今でも俺、マリカさま専属護衛のつもりっすよ」

「うん。エルテくんいつもありがとー」


 エルテくんはどこに行くにもついてきて、部屋の中に入らないでねってときはドアの外で待っててくれてるのだ。なかなかの忠犬っぷりだ。頭をなでなでしてあげる。とっても嬉しそうだ。可愛い。


「あー。あー……マリカ。ちょーっと、色々各所に相談しないといけないから……その件はしばらく保留にさせてくれないか」

「うん。どこにお店を開くかとか、いろいろあるよね。海の近くとかいいなあ~」


 波音がBGMの喫茶店なんて、素敵だよねー。

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