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何日かたって、おじ様から手紙が届いた。都から戻ってきてまだ一月もたってないのに、もう7通目だ。筆まめだ。私が返事をしたのは3通……ごめんなさいおじ様。
「んー……写真の販売の件だって。もう作るの決定してるみたいに書いてあるけど、本当に売れるのかなあ?」
「売れる見込みがなかったら作らないから安心しな」
「写真ってどんなのにするの? 新しく撮るの?」
「芝居風の写真を撮りましょうよ。背景や衣装を用意して。撮影旅行に行くのもいいかと」
「普段の写真じゃつまらないよねえ」
「でも売れるかどうかも分からないのにあまり元手がかかるのは……」
「俺、マリカ様は何も着ないのが一番いいと思うっす」
それだけは絶対拒否させてもらいます。
そんなこんなで、いつのまに誰が手配したのか写真家の人が社に来て、いろんな服を着させられ、いろんなところでポーズをつけさせられた。
ひらひらすけすけの服……というかネグリジェみたいなのがあったんだけど、それはヘルさんが破いていた。確かに着たくなかったけどよかったんだろうか。
変わってるのでは、頭にはねこみみみたいなものと、おしりにふさふさの狐の尻尾のようなものをつけて、服も毛皮みたいなのを着た。ゲオルのコスプレなのかな。エルテくんがすっごい興奮していた。
笑顔のしすぎて顔が痛くなった。
私が関わったのはそれくらいなのに、いつのまにか写真が出来上がっていた模様です。
「うわああ、結構立派だねえ」
写真の種類は32枚。裏面にも綺麗な模様が入っていて、なかなか素敵なカードに仕上がっている。
「これを袋に入れて、どの写真か分からないようにして売るんです」
トレーディングカードかあ……。そんなに集めたくなるようなものなのかなあ、私の写真が。すごく不安になってきた。
「なんだこれは」
ヘルさんの眉間にすごい皺が寄っている。持ってる写真を除きこんでみると、都に行ったときのおじ様推薦の布の面積の少ない服をきている私が写っていた。これはあのときの写真だろうか。いつの間に撮ったんだろう。ぼんやりと座っていて足がまるみえ……目線が外れていて、隠し撮りっぽい……。
「うひあー! だめだよこんなの!」
ヘルさんの手から奪い取って胸に押し付けた。
「当たりなので。普段のマリカ様の写真も一枚入れたいってことでいくつか見せた中からこれが選ばれたんです」
キューちゃんがさらっとそんなことを言って、するっと隠した写真を取られた。普段こんな格好してないよ!
えー、結論から言いますと。すっごい売れたそうです。特にあの面積の少ない服を着た、当たりの写真は、収集家の間で高値で取引されてるそうです。あと、獣服はゲオルの人に大人気らしい。
……大事になっちゃったなあ……。