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世界の寵児  作者: もち
犬はどこでもついてくる
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 ヘルさんに、クイさん、エルテくんと、キューちゃんが、集まってくれた。一緒に私に出来る仕事を考えてもらうのだ。


「なんで仕事をしたいんだ? エルテのことは、気にしなくてもいいんだよ。マリカの遊び相手みたいなもんなんだし。

 それでも気になるなら、社で雇おうか?」

「えっ……そんなことできるの?」

「いやです。俺、マリカさまの奴隷でいたいっす。捨てないで欲しいっす」


 うるうるした目で見つめられた。お耳もへたって……きゅんときた。


「捨てたりしないよ! ずっと一緒にいようね」

「はいっ」


 顔中べろべろ舐められた。尻尾が千切れんばかりに振られている。かわいいっ。膝の上にエルテくんの頭を乗せて、首をわしわしっと撫でてあげる。もうめろめろなのです。


「まあ、マリカがそういうならいいよ。どんな仕事をしたいんだい?」

「……わ、わかんない……店員さんとか?」


 アルバイトっていったら、なんとなくコンビニの店員さんかなーと思ったのでそんなことを言ってみた。


「うん? 町で働きたいのか?」

「ここを離れてもいいなら、できることは増えますね」

「ここでできる仕事あるの?」


 それならそのほうがいいかも。人に囲まれるのは怖い。


「何かマリカが作ったものを売りに出すとか……。寵児の愛好家って結構いるからね。なんでも買いそうじゃないか」

「それならマリカ様の写真はどうでしょう。私の知り合いも、譲って欲しいって人が結構いるんです」

「写真なら量産もしやすいし、いいね。私も売れそうだって思ってたんだ。

 資金と販売経路はどうしようね。あてはあるかい?」

「私の母が商売をやっていますから、その伝は使えるかもしれませんが。あまりクランに偏ると独占していると見られるかもしれません」

「あたしも売るほうのアテはあんまりないんだよねえ」

「報告のときに上司に聞いてみます」

「そうしてくれ。ここにいると情報に疎くなるのは困るねえ」


 どんどん話が進んでいますが、写真……を売ることは決定なのでしょうか。本当に売れるの?


「んー……ヘルさんは、どうおもう……?」


 さっきからあんまり会話に入ってきていないので、話をふってみた。ら、おそろしい顔をしていた。夢に見そう。


「ど、どうし、たの……?」


 私があわてていると、クイさんがにやにやしながら言った。


「かまってもらえなくて拗ねてるんだよ。放っておきな」

「いい年して恥ずかしいですね」

「……うるさい」


 そういえば最近はエルテくんのお世話ばかりで話もあんまりしてないなあ。夫婦円満の秘訣は、いつでも新婚生活ってお母さんが言ってた。気をつけよう。


「ご、ごめんね……? 新婚さんなんだから二人の時間も必要だよね。気をつけるね」

「しんこん……」

「結婚したばっかりだし……ヘルさんは私の旦那様だもん、一番だい」

「だんなさまとかなんなんですかまりかさまどれだけもえさせればきがすむんですかあいてがへるべるさんってところがひじょうにふまんですけどええふまんですどうせならもっとしんしてきなおとこだったらよかったのにどうぞくのびしょうじょとからみあってくれればなおよしですそれにしてもけものとたわむれるようせいさんみたいでそのかっこうたまらないですしゃしんしゃしんそうだしゃしんああもうここにこれてよかったもうおなかいっぱいです!」


 ……ごめん、キューちゃんが何言ってるのか全然分からない。

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