表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界の寵児  作者: もち
出会い、はじまり
35/63

 なんだこれえええええ! 眼鏡をかけたライオンさんがいる。かわいい!

 他の国からきた使節団の人というのが獣の人たちで、その中にふさふさの鬣のライオンさんがいた。眼鏡をかけて、その上服を着ている。なかなか見られない光景だ。


「はじめましてマリカ様」

「ははははじめまして!」


 思わずじっと見ていたら声をかけてくれて、手を差し出してくれたので握手もした。肉球!


「マリカ様は私達の毛並みに興味がおありだとか。どうぞお触りください」

「え、あああ滅相もないです!」


 百獣の王なのに気さくだ。触りたい、触りたいけどすごく触りたいけどどうしようだめだよね。なんてったって王様だもんね。


「鬣はお気に召しませんか」


 なにこれかわいすぎる。しょんぼりしないで。

 欲望に負けて触ってしまった。ふさふさ! ひなたのにおい! まあるいお耳! ふさのついたしっぽ! ああっ、幸せ。

 いつの間にか獣さんたちに囲まれていて、もふもふ三昧だった。ここって天国?


「想像以上に小さいなあ」

「マリカ様、是非われわれの国にもいらしてくださいね」

「柔らかくてすぐに破けそうな皮膚ですなあ」

「バカ、爪を立てるな」

「いい匂い……」

「私もなでてください!」


 名残惜しいけど、時間が来てしまったので、また会う約束してお別れした。獣さんの国に旅行……ちょっと楽しみだ。落ち着いたらひっそりいきたい。


 あと、テルベ族という、ヘビ、トカゲ系の人たちにもあった。二足歩行でつるんとしたお顔で、口を開くたびにちろちろと細い舌が出入りする。ピッタリした服を着ていて、宇宙人っぽい。

 握手をしたけど、すべすべして冷たい手だった。


「シュムクイエが悪さしてはいませんか? 困ったときには私たちを頼ってくださいね」

「わたしの家にはブールの鱗が残っているんです。いつかテイェルベの国にいらした際には是非およりください」

「綺麗な肌ですねえ……こんなに柔らかいのに張りがある」

「ゲオルに興味がおありの様だが、私たちはいかがでしょう。特に私の持つ白い色は珍しいのですが」


 ブールというのは、昔テルベの国にきた寵児の竜のことらしい。遺物が自慢になるのか。私の残せるものって何になるんだろう。髪の毛とか? のろわれそう。

 表情が読めないけど、皆さん握手した手をなかなか離してくれなくて、多分、好印象を与えられたんじゃないかと思う。



 いつもより布が増量された服を纏い、写真館のような場所で写真を撮った。重くて辛い。立ち姿や座ったのや、服を変えたり、あと、従者と一緒に、と言われてそれも撮った。クイさんがぐるぐる巻く服をきているところははじめてみたなあ。ヘルさんはいつもとあまり変わらない。でもカッコイイと褒めておいた。ゲオルの人のもふもふ毛皮がうらやましかったのか、すこし拗ねてる気がしたから。ヘルさんは案外お子様だ。


 取材は雑誌のインタビューみたいな感じだった。芸能人みたいな扱いなんだろうか。しかし好きなタイプとか聞いてどうするんだろう。こっちで恋人とか……どう考えても無理だ。シムクイエは姿かたちだけ見ればいけそうだけど、肌の色はともかくちょっと大きすぎる。ゲオルももふもふする分にはいいけど、獣だし。鳥のエーリエーはちょっとうるさすぎるし。いや、一人しか知らないからそうでない人もいるのかもしれないけど、それでなくても、鳥だし。テルベは爬虫類、と。人魚のシェシェシェもなー、海に住んでるってことなので、一緒に暮らせないしね。

 とりあえず、無難に優しい人、と返しておいた。



 今日の夕飯は、忙しくて時間が取れなかったそうで会食ではなかった。そのほうがいい。しかも、マーボーっぽいタレのかかったうどんだった。麺料理ははじめてだ。こういうのもあるんじゃないか。これもゲオル料理らしい。


「マリカはゲオル料理が好きみたいだね。

 社に料理人をもう一人入れようかと思っていたんだけど、ゲオル料理を作れる料理人を探そうか」

「それがよさそうだねえ……。しかしよくこんな舌がしびれるのを食べられるね……」


 美味しい美味しいとマーボーうどんを食べる私をみて、にこにこと微笑むヘルさんとは対照的にクイさんはひいていた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ