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世界の寵児  作者: もち
過ぎた日の約束
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 まどろみを抜けるとそこは異世界でした。

 寝起きのぼんやりとした頭が一気に覚醒する。紫の瞳が私をがんじがらめにしていた。ものすごい見られている。

 蛇に睨まれた蛙の気持ちが、今ならよくわかる。これは何もできなくなりますね。


「おはよう」

「……ぉあ……おはようございます……」


 なぜここにいるんでしょうか。昨夜寝るまで側にいてくれとかいったからですよね。律儀ですね。朝まで一緒にいてくださらずともよかったのですが。

 どうしてお顔を近づけてくるんですかね。なんで舐めるの。なんで舐めるの。

 顔全体をべろべろべろべろ無遠慮に嘗め尽くされた。牛みたいなんですけど。大きくて分厚い舌だ。冷たいけど。この人体温低くないか。青いからそう感じるだけなのか。

 そのまま口の中まで入ってきて、喉の奥まで舐められた。そんなことしたらえずいちゃうから。大体壊れ物を扱う態度でお願いしたいと言って……は、いないな。思っただけだった。

 しかも、だ、だだだだえきも飲まされて……なにこれ。なんでこんなことになってるの。

 わたしもうおよめにいけない。


「ぅぐ……」


 苦しさに沸き起こった涙は舐め取られて、その後暖かい濡れタオルで顔を拭かれた。舐める必要がどこにあったんだ。二度手間じゃないか。もしかして毛づくろいですか? そういう習性があるのだろうか。つくろうような立派な毛は私にもヘルさんにも顔には生えてないけど。昨日はこんなことされなかったというのに。

 ほんとに何が起こってるの。


 ベッドの上で朝ごはんを食べた。ハムだかロースとビーフだかよくわからないけど薄切りの肉だとか、温いポタージュスープをあーんで食べさせられた。ああ、炭水化物が食べたい。

 それにしても赤ちゃん扱いが酷さを増している。ベッドの上で食べるのは行儀が悪くはないのだろうか。しつけは最初が肝心なんですよおとうさん。

 歯を磨かれ、服を着替えさせられ、抱きかかえられて部屋を出ました。

 え、それだけされて抵抗しなかったのかって? もちろんしましたよ。一応ね。でも私の抵抗など蚊が指されたほどにも感じられないようで、されるがままになるしかなかったんですよ。


 私、どうなっちゃうんでしょう。なにをいまさら? ですよねー。

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