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猫型ロボット好きな女子高生による異世界救済。まずは食から改善しよう。  作者: ミジンコ


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第二話 プロローグ後編

 連れてこられたのは、まるでお城の中みたいな場所だった。


 長いレッドカーペットに、奥にある豪華な椅子。一段高いところにあってまるで玉座みたい。

 あそこには誰が座るのだろうか。


 あの天使? それとも天使が言っていた上司?

 というか天使の上司って、まさか神とか言わないよね?


 そしてそんな玉座の間に、謁見でもするみたいに集められた五人。


 まずは、私。以上。

 

 次、まずは男子から。

 一人はさっき怒鳴り声を上げたやつ。気崩した学ランと鋭い目つきがいかにも不良っぽい。

 

 でもさ……何でエプロン着てんの? 

 しかもひよこの絵がプリントされためっちゃ可愛いやつ。

 もしやギャップを狙っているのだろうか。まあ私は可愛いと思うよ。ちょっとあざとい気もするけどいいんじゃないかな?

 君にはギャップくんの称号を与えよう。


 男子二人目は、 ギャップくんとは真逆のおどおどした子。


 ここに来てから終始キョロキョロそわそわしてる。どことなく小動物っぽさを感じさせる子だ。

 身長も、女子の中だと真ん中ぐらいの私より低そう。しかも中性的な顔立ちだから、男物の制服を着てなかったら女の子と見間違えたかも。自然と庇護欲をそそられるタイプだね。


 そして男子最後は、言ったら悪いけどこれといった特徴も無い人。


 うーん、私と同じでこれといった特徴も無いモブみたいなタイプだね。あいや、他人をモブって評価するのはめっちゃ失礼なんだけど。まあ私と同じで普通の人ってこと。

 そんな彼は何故か薄っすらと笑っている気がする。

 何が楽しいんだろう?


 そして私と紅二点のもう一人の女子。

 一言で表すなら、女子高の王子様系だねあれは。


 天使ほどじゃないけど、十人いれば八人か九人は振り返るだろう容姿。短髪に切り揃えられた髪。服の上からでも分かる引き締まったスタイルのいい身体。

 きっとスポーツとか得意で、勉強の方も成績優秀に違いない。部活は陸上部で委員会は生徒会に入ってる文武両道の優等生タイプとみた。


 ざっくりまとめてみたけど……見事に共通点が無い。


 本当にどんな選出でこのメンバーが異世界救済に選ばれたんだか。

 そこら辺もぜひとも天使に聞きたいところだね。


「私のことは、そうですね。『ケルビム』とでも呼んでください。で、ですね。皆さんには異世界を救ってもらいたい訳なんですが「そ、それってチート! チートを貰えるんだよな!!?」……」


 一言一句しっかり聞こうと構えていたところ、天使の話に割り込んでくる声があった。


「これってアレだよな!? つまり俺達を異世界に転移させて世界を救ってこいってことだろ! だったらその為に必要な力――チートを貰わなくちゃいけない! な、あるんだよな!?」


 あぁ、そういうことね。


 割り込んできた声の正体は、あのモブ君。

 そして今のを聞いて、どうしてずっとニヤニヤしていたのかその理由が分かった。

 よくあるよね。そういうストーリーの物語って。正直、モブ君の話を聞くまで自分に降りかかった話なのに全然実感が無かったわ。


 まあ別にそれを聞くのはいいんだけど……気付いてないのかなあ。


 ケルビムの顔が凄いことになってるよ。さっきまでの形だけの笑顔が消えて能面みたいになってる。あれ、絶対に話遮られて怒ってるでしょ。


 少ししてモブ君もようやくそれに気付いたようで、さっと顔を青ざめさせる。

 そしてそれを見たケルビムは、再び顔に笑みを浮かべた。


「あー、はいはい。あげますよチート。後でね。でも鬱陶しいんで、暫く黙っててください。はいお口チャックー」

「っ!? ん、んー!?」


 ケルビムが空中で手をひらりとさせる。

 するとモブ君から悶えるような声を発する。もしかして口を開こうとしても開けない感じ、だろうか?


 天使なら人間の口を封じるぐらい簡単なのだろう。

 ただ、やってることが湯◯婆と同じだけど。


 私は同じ目にはあいたくないから、無駄口は挟まないようにしよう。


 他の皆も同じことを思ったの、それともまずは聞くことが優先なのか。モブ君と同じ轍を踏む人はいなかった。


「静かになったので改めて。皆さんにはとある世界、地球とは異なる星を一つ救ってもらいます。内容は非常に簡単。ちょっとしたお掃除をしてもらうだけです」


 曰く。

 汚れの正体は、かつての邪神の残滓。邪神が滅んだ時に世界中に広がったんだとか。私達にはその浄化、つまり掃除を手伝って欲しいらしい。

 なぜわざわざ異世界から人員を?というと、向こうの世界の人間にはどうにもならないから。何でも触れると発狂するレベルの汚染物質らしい。でも異世界人の私達にはその影響はないんだとか。


 ざっとまとめるとこんな感じ。


 ケルビムは最後に「割のいいバイトでしょ?」なんて言って締めくくったけど……どこが?

 

 いくら影響無いっていってもそんな危険物に近づくの嫌なんだが?

 というか邪神て。人が何かしていいものじゃないでしょ。神様のことなんだから神様で片付けろよ。


 するとケルビムが私が言いたいことを読み取りでもしたのか「神の介入が制限されちゃってるんですよ~。すみませんっ!」と、言葉だけ申し訳なさそうに言われた。


 納得はいかないけど、一旦。

 百歩譲ってそこはいいとしよう。そうじゃないと話が進まない。他に聞きたいことは沢山あるんだ。


 ようやく私も心の準備が出来たので、ケルビムに質問を浴びせようとすると――それより先に質問する声が飛んできた。


「……何故、私達なんだろうか?」


 そう声に出したのは、あの王子様系女子だった。


「他の人たちとは面識が無いから分からない。だが少なくとも私は、そんな大それた仕事を依頼されるほど特別な人間ではないと思っている。特別な力も何もなく、ごく普通の高校生だ。だから分からない……何故、私達が選ばれたのか」


 そう、それ! 一番気になるのはやっぱりそこでしょっ!


 まああなたが普通の高校生かどうかは置いといて。

 私に関しては自信を持って断言できる。


 私は、普通だっっ!!

 世界を救うアルバイトにスカウトされる理由は無いっっ!!


 さあケルビム。この質問にどう答える……?


「いい質問ですねぇ。ですがその理由は簡単です。あなた方は、神が直々にこの仕事を任せるに相応しいと選んだ――選ばれし五人だからです! 地球人類、八十二憶人の中から選ばれた『特別』ですよ!」


 ババンッと、背景に効果音でも出そうなほど大げさな身振りだ。


 つまり、まともに答える気は無いってことですねぇ。


 これだったらまだランダムの抽選で選ばれましたって方が納得がいく。

 何が相応しくて、何が相応しくないのか謎だけど。別に私は異世界に行きたい願望なんてないぞ? 

 というかむしろ行きたくないんだが。

 土曜日には毎週の楽しみドラ◯もんが放送されるし、ネットで来年の映画考察で盛り上がりたいんだけど?


 そんな知りもしない人達が住んでる異世界を救うよりも、そっちの方が重要なんだが?


「さて質問はこんなところでいいですかね~。まあ最初っから皆さんに拒否権は無いんですけど。もう行ってもらうことは決定してるんで頑張ってください! ほら、そっちの子のご所望の役立つ能力も付けてあげますから!」

「ふざけっ……!?」


 あまりにも身勝手な物言いに思わず声が出た――けど、途中から出なくなった。

 出そうとしてるのに喉の奥から音が出てこない。空気がしゅーと抜けるだけ。その上、身体を動かそうとしても自由が利かないことにも遅れて気付いた。


 ……やられた。


 あの天使野郎、モブ君にやったのよりもっと強い何かを仕掛けてきやがった。

 それに私以外から、特のあのギャップくんからの反論が無いのはあり得ない。それはつまり、私みたいに反論しようとした人は全員こうされてるってことだろう。


 ふざけやがって……!


 内心にふつふつと怒りが湧いて来るけど、それを表に出す術がない。

 せめてもの抵抗とばかりに、ケルビムを睨みつけることだけはしておく。

 それも軽く受け流されて全く効いてるようには見えないけど。


 そんな私の内心をガン無視で、ケルビムは話を続けた。


「それじゃあ上司から預かったコレを皆さんに渡すので、名前を呼ばれたら前に出てきてくださいね~。まずは、茨木龍一郎いばらき りゅういちろうさん~」


 その言葉に反応して前に出たのは、ひよこエプロンのあの男子学生だった。

 

 でもここからでも分かるほど顔は真っ赤で額には青筋が浮かんでいる。ブチぎれてるはずなのに、それを表に出せないんだろうな。私と同じだ。


 そしてケルビムの元まで操り人形のように歩かされた茨木君は、そこで何かをケルビムの手から受け取る。

 それから二三言、ケルビムが一方的に声をかけると振り返った茨木君がこっちに帰っていた。その様子にはさっきまでの怒りの様子も操り人形のような様子もない。


 まさか、あの短い話で納得したの?


 どんな話術を使ったらあんなマジ切れ寸前どころか噴火を強引に抑え込んだ火山みたいな怒りが収まるのか。

 ちょっと怖くなってきた……


 続いて他の人の名前もどんどん呼ばれる。


 おどおどした男子学生――早乙女優李さおとめ ゆうりくん。

 異世界に大興奮の男子――根倉元樹ねくら もときくん。

 私――清水有紗きよみず ありさ

 そして最後に女子高の王子――獅子沢玲於奈ししざわ れおなさん。


 全員に、丸いガチャガチャみたいなカプセルが渡された。


 ちなみに私がこれを受け取るときケルビムに言われたのは――


「仕事が終わった時は連れて来た時と同じ場所と時間に戻します」

「命の危険は多少ありますけど、こちらの保証付きです。願いは叶いませんけど、記憶スッキリで地球に戻します」

「欲しいものは現実に存在しないものでもいいですよ?」

「向こうには魔法があります。秘密道具の再現……したくありません?」


 こんな感じ。


 そんな言葉を重ねられて「まあ、いいか……?」と不覚にも思わされてしまった。

 

 そうして心の中の納得の部分が大きくなってくると、自然と身体の拘束が解除されて。言いたい事よりも理解が大きくて、結局何も反論することなく元の場所まで戻って来てしまった。


 こうなってくるともはや自分がちょろいのか、ケルビムが何かしたのか分からなくなってくる……


「では皆さん受け取りましたね? それを開封すると皆さんそれぞれに合った能力が手に入ります。確認の仕方は空けた後、ステータスと言ってみてください」

 

 確認の仕方は~のところで根倉くんはもう開けてたけど、最後まで話を聞いてから私も恐る恐るカプセルを開ける。


 すると何も入ってない中身の代わりに、胸の辺りがぽわっと温かくなった感じがした。それから「ステータス」と、ぼそりと呟いてみる。それだけで頭の中に今さっき受け取ったらしき能力と他にも細々とした情報が頭の中に出てきた。


――――――――――――――――――――

名前:清水有紗

性別:女

種族:人間

スキル:

権能:ダンジョンマスター

――――――――――――――――――――


 ダンジョンマスター……それが私に相応しい力、ということらしい。


 ふーんというか、へーというか。


 字面のイメージからその能力に何となく想像はつくけど、どうしてこれが私に合った能力なのかが分からない。どうせならロボット作成とか、秘密道具職人とかの方が良かったんだけど。


 他の人たちが何を貰ったのか気になるけど、聞いてもいいものかどうか……


 私、初対面の人に気安く話しかけられるほどコミュ力高くないし。


 次の瞬間、私達の足元に巨大な魔法陣っぽい何かが出現する。


「それじゃあ後は私の上司からまとめて話を聞いてください! それじゃあ異世界救済、よろしくお願いしますね~!」

「おまっ、ふざ!?」


 何かを言う暇も無く、私達五人は足元の光に包まれた。


 次に見えたのは、ただただ真っ白なだけの空間。

 足が地面に着く感覚も無くて、どっちが上か下かも分からない。ただそこに浮いているだけのような感じ。


 するといきなり目の前に光の玉が現れて、次の瞬間。


「っ!?」


 頭の中に膨大な情報が流れ込んできた。


 全く知らない文字だったりその発音だったり。それ以外にも訳の分からないこと――いや。おそらくそれはこれから行く異世界の関する知識なんだろうと悟った。

 だけどあまりにも情報量が多くて、頭を割れそうな痛みが襲ってくる。

 

 そしてどれだけそれに耐えたのか、その情報の最後はこう締めくくられた。


『頼む』


 ケルビムの言葉から察するに、最後のはあれの上司からのメッセージなんだろう。

 にしても短文でそっけなさ過ぎる。

 それが、そっちの都合でこれから異世界に送り込まれる者に対する言葉かとさすがにイラっときた。「よろしくお願いします」ぐらい言ってもいいもんじゃない?


『よろしく頼む』


 あ、追加してきた。


 もしかして私が文句言ったから?


 上司はケルビムよりも話が分かる人なのかもしれない、と思った途端――再び視界が切り替わった。

いかがでしたでしょうか?

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