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猫とのご縁、おつなぎします。~『あわせ屋』ミケさんと猫社の管理人~  作者: 香散見 羽弥@コミカライズ版『夜の聖女』7/17配信開始!


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5.神様の世界も世知辛いらしい

「と、言うわけで! 紡生(つむき)ちゃんが仲間に加わりましたーーー!」

「ちょっとまて」



 高らかなアメの宣言に、待ったが掛けられた。



「どういうわけだよ。ふざけるなよ」



 ミケは初耳だったらしく、全身の毛を逆立ててアメに詰めていた。


 けれどアメはどこ吹く風。シラっと受け流している。



「どうしたもこうしたもないですぅ~。もう決めたんですぅ~」

「バカ言え。こいつは人間だぞ?」

「人間だろうが猫だろうがあやかしだろうが、関係ありませんー。うちは万年《《猫手》》不足だからね!」

「それはそうだが、だからって……」

「だってしょうがないじゃんー。事故起こしちゃったのも、もとはと言えば働き手が少なすぎるからだし? 使えそうな子がいたらスカウトもするってもんよ!」

「ダメだ、戻してこい」



 捨て猫を拾った子供とお母さんみたいな会話だった。


 立場的にアメが子供、ミケが母親といったところだろうか。

 そして紡生は捨て猫ポジション。


 神様とあやかしから見たら人間はそういうポジションなのだろうか。

 などと考えているうちに、二匹はヒートアップしていく。



「そもそもオレになんの相談もなくこの屋敷に入れるなよ」

「だってミケ、連れてくる前に話したら絶対拒否するじゃん」

「分かってんならやるなよ」

「じゃあミケがあたしの分まで働いてくれるっていうの?」

「なんでそうなる」

「だって願いが多すぎるんだもん! あたしだって寝たい! 猫なのに最近寝られていないんだよ!? もーやだー!」



 アメは床に寝転がり全力で駄々をこねた。三歳児も真っ青な駄々っぷりだ。



 ……これでいいのだろうか、神様って。



「他のやつにやらせればいいだろ。アンタ一応それなりの地位にいるんだから」



 ミケは慣れているのか、特段驚いた様子もなくピシャリと言い放っていた。

 本当に母親のようだ。



「あたしやミケはともかく、他の子たちはまだ猫の性質に引っ張られちゃうからずっとは働けないんだよー! だからあたしが休んでたら回らないっていうか。……はー、中間管理職って辛いなあ~。主神様にはせっつかれ、部下たちからはシフト融通してほしいと言われ。はー、やんなっちゃう! そんな状態なんだから人間でも雇いたいに決まってるくない!?」

「知らねえよ! 長文でキレんなっ!」



 傍から見たらにゃあにゃあと大変可愛らしい光景ではあるが、話の内容は全く可愛くない。

 なごんでいいのか憐れんでいいのか。



(……どこの世界も世知辛いんだなぁ)



 なんだか神様の世界も人間の社会とそう変わらなさそうだ。

 紡生はどうしたらいいのか分からず、ひたすら黙って成り行きを見守っていた。



「と・に・か・く! そう言うことだから、この子は雇います!決定! んでミケのサポートに回ってもらう! それで万事(ばんじ)OKでしょ!?」

「はあ!? オレに押し付ける気か!?」

「違うしー。ミケ人間の相手うまくないんだから、それ関係をやってもらえたら助かるかなって思ってさ! ほら、できること広がるじゃん! そしたら感謝量も増えるって! 今までできてなかったところまで手が届くのよ? やるしかないじゃん!」

「あのなあ……」



 眉間(みけん)を抑えたミケがふいに紡生を振り仰いだ。



「おい、アンタからもなんとか言ってやれ」

「え、私!?」



 急に話をふられて上ずった声が出てしまった。



「紡生ちゃん、素直に言っちゃっていいからね!」

「アメは黙ってろ。あんたの意見を言えよ」



 二匹を見比べると、アメからはやるよね? という視線を向けられているし、ミケからはやらないよな? という圧が掛かっていた。



 そんな真反対な視線を向けられましても……。



 とはいえもうやると決めたことだ。

 紡生は顔を引きつらせながらも自分の素直な気持ちを口にした。



「ええと……誰かの助けになれるならやりたいなって。それにアメちゃんにもミケさんにも助けてもらったからお礼もしたいし」



 そう言うと、ミケはものすごく嫌そうな顔になった。

 不機嫌を隠しもしない尻尾が、床に叩きつけられる。



「……アンタ、あわせ屋の仕事舐めてるだろ」



 数段低くなった声に、びくりと震える。



「え、い、いや。そんなことは」

「だいたい、人間なんかにできることはない。自分の猫も見つけられないくせに、他の猫が見つけられるかよ」

「こらっ! ミケ!」

「本当のことだろ。とにかく、オレは認めねえからな。人間なんていらねーよ」



 ミケは吐き捨てるようにそう言い残し、唸り声をあげて奥の部屋へと行ってしまったのだった。



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