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猫とのご縁、おつなぎします。~『あわせ屋』ミケさんと猫社の管理人~  作者: 香散見 羽弥@コミカライズ版『夜の聖女』7/17配信開始!


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4/5

4.歓迎と反対

 ――ザッザッ



「よし、こんなものかな」



 紡生(つむき)は猫社の境内(けいだい)を竹ぼうきで掃いていた。

 落ち葉や(ほこり)をゴミ袋に入れて、傍にいた男性を振り返る。



神余(かなまる)さん、終わりました」

「うんうん。ありがとうねぇ。じゃあ出たゴミとお供え物をもって戻ろうかぁ」



 男――神余(かなまる)(あい)は大きな体躯(たいく)に反して穏やかな笑みを浮かべた。



 神余は熊のような大男ではあるが、柔和(にゅうわ)でゆるい空気感を持った人だった。

 猫社を管理する神職らしく、新たに手伝うことになった紡生にも嫌な顔一つせずに教えてくれている。



「いやぁ。それにしても紡生ちゃんが手伝ってくれてほんっとよかったよぉ」

「そうですか?」

「うんうん。仕事も教えたらすぐ覚えてくれるし大助かりだよぉ!」

「ふふ、それならよかったです」



 本当に嬉しそうに笑うものだから、紡生もつられて笑ってしまった。



 アメからあわせ屋を手伝ってほしいと言われてから早三日。

 なぜ紡生が猫社の掃除をしているかと言えば、お社の管理は人間にしかできないかららしい。


 いわれてみれば確かに、道具も建物も人間サイズなので猫が管理するには不向きだ。

 案外、アメは猫社の管理を任せたくて紡生を引き入れたのかもしれない。



「それにしても、ずいぶんたくさんのお供えものがあるんですね」



 道具を片付けた紡生は、社の横に置かれていた透明な箱へと目を移した。

 その中には猫缶に猫用のおやつ、おもちゃや感謝の手紙などが入っている。



「うん。これね、全部猫飼いさんたちからのお礼なんだぁ」

「お礼って、猫との縁結びの?」

「そうそう。すごいよねぇ。これだけ感謝してもらえるってなかなかないし、アメちゃんたちの頑張りが評価されると僕も嬉しいなぁ」



 どうやらこのお供えの山は、猫社にお参りした人がお礼にと持ってきたものらしい。

 今までどれほどの猫たちを帰してきたのかがよくわかる。



「これってこの後どうするんですか?」

「んー、神前にお供えされたものだからできれば全部消費したいんだけどね。あわせ屋や猫社だけじゃ消費しきれないから、地域の保護団体に寄付しているよぉ。お手紙とかはあわせ屋で大切に保管しているけどねぇ」

「へえ! それじゃあ地域の保護活動とかにも使われているんですね!」

「うん。やっぱり神社って地域の人たちを繋ぐ場所だからさぁ。これも縁なんだよねぇ。さすが縁結び神社って感じかなあ」



 神余は嬉しそうにほほえんだ。



 でも確かに。

 言い得て妙かもしれない。



 お礼として持ってきたものが保護活動の団体に渡り、野良猫や保護猫の命を繋ぐということもあるのだろう。

 もしかしたら、命を繋がれた猫が新たに良縁を求める人の元に迎えられることもあるのかもしれない。


 これも縁を繋ぐ仕事の一環だ。そんな仕事に自分も関われているだなんて。


 紡生は心が温かくなるのを感じた。



「素敵ですね」

「そうだねぇ。僕も誇りに思っているよぉ。……と言っても、僕はあんまり直接的には関われていないんだよねぇ。他にもやることがたくさんあって、そこまで手が回ってないんだぁ」



 神余は恥ずかしそうに頬を掻いた。



「そう言えばまだ人間には神余さんしか会っていませんね。あわせ屋も人手不足って言っていましたけど、管理もなんですか?」

「そうだねぇ。本当は駐在したいんだけど、なかなかね。猫社の他に四つのお社も管理しているから忙しくてさぁ」

「よ、四つ!? えっ、じゃあ猫社も合わせて五つの社を神余さんお一人で……!?」

「うん。困ったもんだよねぇ。あはは~」



 神余は本当に困っているのか分からないほどゆったりと笑った。



「まあ人手不足はどこの神社も同じようなもんだよぉ。こういう仕事ってあんまり人気ないないからねぇ。体力勝負なのも原因なのかもねぇ」

「ああ、そう言えば……」



 朝早くからずっと掃除をしたり、お賽銭箱(さいせんばこ)の管理をしたり、お供え物を運んだり。

 思い出すだけでも力仕事が多い。


 神社の仕事というと「お祈り」や「舞」などを思いうかべていたので、ずいぶんと意外に思ったものだ。



「そうなんだよねぇ。思っていた仕事と違うって、よく言われるよぉ。紡生ちゃんは大丈夫? 重いものも多いけど……」

「平気です! ずっと陸上やっていたんで体力はありますし、むしろずっと動いていた方が性にあっているので!」



 力こぶを作ってみせると、神余は柔らかくほほえんだ。



「本当? それはありがたいなぁ。でも無理はしないでねぇ。あわせ屋の仕事もやるんでしょ?」

「あ~。……そのはずなんですけどね」



 神余の言葉に、思わず苦笑いを浮かべた。



「ん? なにかあった?」

「いや、その……実は私があわせ屋の手伝いをすることにミケさんが反対していまして……」



 ときは少しだけ遡る。

 アメにスカウトされた後、そのままあわせ屋の屋敷に向かったときのことだ。



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