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嘘の章:―②―

 エウロンから馬で一夜ほど行った所にある浅い森を抜けた先にある小さな村がハーダンである。

 その村は人口もそう多くなく、農業や牧畜で生計を立てている村人が多いらしい。

 そして不思議なことに、この小さな村がこの街道沿いの町々だけでなく首都エウロンを含めた流通の中継地点を担っているという話だった。


 そんな村に“大罪の刺青(デッドリィシール)”を持つ女が居るという噂をベルムナートがエウロンの冒険者ギルドで掴んで来たのだ。


 その噂を確かめるべく、ルシェンテとベルムナートはハーダン村へと向かった。

 そして日も暮れて辺りが暗くなってきた頃、二人を乗せた白馬が村へと到着した。




「ここが、ハーダン村…」

「うん! なんか田舎っぽいけど、イングレッサと同じようなもんね!」


 ルシェンテはベルムナートの口から故郷の名が出て一抹の寂しさを覚えたが、ベルムナートの陽気さで直ぐに気持ちを切り替えることが出来た。


「そうだね。今日はもう遅いから宿を探そうか。捜索は明日からにしよう」

 ルシェンテはベルムナートの言葉に柔らかい笑顔で頷くと、ハーダン村の様子を見ながら言った。


「うんうん、了解! なんか初めての土地はワクワクするね! ルーシェくん!」

 ベルムナートはそう言ってその大きな瞳を更に大きくして爛々と輝かせる。


「ふふ…ベルは元気だね」

 そんなベルムナートの様子にルシェンテは思わず柔らかい笑みを零すのだった。



 ハーダン村には小さな宿屋があった。宿に併設する小さな厩舎に馬を繋ぎ、二人はその宿屋に部屋を取って、夕食を済ませ(くつろ)いでいた。


「はー、食べた食べた! やっぱり大陸の料理は美味しいね!」

 ベルムナートが満足そうな声で言う。ルシェンテもその言葉ににこやかに同意する。


「そうだね。食材が豊富だからかな。でも、ベルの作る料理の方が僕は好きだなあ」

「ルーシェくん……嬉しいこと言ってくれるじゃない!」

 ルシェンテの言葉にベルムナートは感激して思わずルシェンテに抱きついた。

 突然のハグにルシェンテは動揺し、ベルムナートを引き剥がすよう、頬に密着している彼女の顔を押す。


「ちょっとベル!?」

 我に返ったベルムナートが慌ててルシェンテから離れる。

「あ、ごめんルーシェくん! つい、ね!」

「もー! ビックリしたよ……」

 ルシェンテは頬を赤らめてベルムナートに抗議する。するとベルムナートは悪戯っぽい笑みを浮かべた。


「じゃあ、お詫びにもっと良いことしてあげる!」

 そう言ってベルムナートはルシェンテの服に手をかける。そしてそのまま一気に脱がしにかかるのだった。

挿絵(By みてみん)

「ちょ、ちょっと待って! ベル!? ベルムナート!」

「ルーシェくん、可愛いーッ!」

 ベルムナートはそう言うと、ルシェンテの服を手際よく全て脱がしてしまった。


 ルシェンテは平らな胸は隠さず股間だけを必死に隠そうとしている。

 白い肌に咲いた桜色の小さな乳輪が、その幼い肢体の美しさを際立たせていた。


「さあ! お風呂の用意が出来てるわ! 一番風呂をどうぞ〜!」

 ベルムナートがルシェンテの手を引いて浴室へ連れて行く。

「もー……ベルったら……服くらい自分で脱げるよ」

 ルシェンテは頬を膨らませて不満げに言う。


「あはは、ごめんごめん! ルーシェくんの反応が可愛いからさー。あ! そだ! 久し振りに一緒に入る?」

 ベルムナートは悪戯っぽく歯を見せながら笑って言う。


「入りません!」

 ルシェンテは恥ずかしげにきっぱりとベルムナートの提案を断った。


「えー? いいじゃない! 昔はよく一緒に入ってたじゃない?」

 ベルムナートは不満げに唇を尖らせる。


「僕はもう十二です! 一人でお風呂に入れます! ベルももう僕の侍女さんじゃないんだから、余り構わないで大丈夫だよ」

 ルシェンテはベルムナートにそう言うと一人浴室へ入っていった。


 そんなルシェンテの背中を少し寂しげな顔でベルムナートは見送った。


「……もう僕の侍女さんじゃない、か……あたしはね、いつまでも君の侍女さんでいたいんだよ、ルーシェくん……」

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