サクラ無人駅
呼び出し音が耳に残ったまま
無人駅で良かったなと思った
サクラの咲く時期には
まだ早いからか、
今日はめずらしく誰もいない
あなたと二人きり
少しのあいだだけだよね・・離れるのは・・
わたしは何度もそう自分に言い聞かせた
メモに残しておけるなら
昨日のうちから
わたしのセリフをあなたに預けるけど
どうしようか迷う、わたしの先には
あなたとの想い出が
いくつも浮かんでは消えてく
そんなに続けてあなたが出てくれるのなら
出演料を多く払わないといけないよね
あいかわらず、わたしの演出は
下手なままだけど・・
あなたの背中を見送る
つい泣きたくなって空を見上げた
まだ明るくて
いまが何時なのか予想もできる頃
サクラ色で「好き」の文字を書いて
あなたに渡した手紙
結局は書くことした
涙がこぼれてきた
やっぱり、無人駅で良かったね
あなたを見送ったあと
しばらくはこのままでいたいから