第93話 弱いけど(ミラクル視点)
お待たせ致しましたー
*・*・*(ミラクル視点)
兄さん……は、きちんと考えている。
僕とは違って、将来のことをきちんと向き合っているんだ……。
僕は……僕はどうしよう。
ユーシェンシー伯爵の子どもとして、将来は爵位を継がなちゃいけない……。
将来の……お嫁さんには、欲しい人がいる。
僕より年上で……元気いっぱいのサリー姉さん。
あの人と、僕はいっしょになりたいんだ。
(……でも。僕はこんなだから)
母上や父上のように……強くない。
いつも、自信が持てないでいて……魔法の修行をがんばっても、それだけ。魔法がうまく出来ても、セシル兄さんのように……リーシャ姉への気持ちと向き合うことは出来ていない。
でも、サリー姉のことは……大好きなんだ。
僕を励ましてくれる、優しい女の子。『大丈夫』をいつも言ってくれる女の子なんだ。いつから好きだと思ったのはわかんないけど……でも、好きなんだ。
誰にも渡したくはない。
けど、思っているだけじゃダメだから……兄さんがあんなにもがんばっているんだもん。
僕も、少しだけでもがんばらなくちゃいけない!
ミラクル=ユーシェンシー……勇気を出すんだ!!
「……父上」
「ん? どうしたのよ」
兄さんにリーシャ姉のパンを渡したあと、師匠と剣技の稽古をしていた父上に突撃した。
父上は前世が女性だったから、今男でも女言葉を話すけど……母上はそれでも父上を受け入れているんだ。それはいいとして。
「……僕にも、剣教えてください!」
「「……え??」」
「教えてください!!」
「「……ミラクル??」」
「本気……です!」
僕は……強くなるんだ! 今日から!!
次回は水曜日〜




