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第78話 息子の覚悟(フィーガス視点)

お待たせ致しましたー






 *・*・*(フィーガス視点)










 良い目だ。


 俺の息子だが、最近何か得たものを身に付けてきたのか……ガキなのに、良い目をするようになった。


 魔法の攻撃演習をしながらも、俺はセシルの様子を探っていた。


 軽く息を弾ませていたが、あいつは俺から一本を取ろうという意気込みは消える感じはしない。よっぽどのもんを手に入れたんだろうなあ?



「おい、セシル? いい加減話す気ねぇのか?」


「……いいだろ、別に!」



 俺が揺さぶりをかけても、あいつは答えようとしない。よっぽど、その覚悟を親である俺にも打ち明けたくないんだろうな? 嫌いじゃねぇが、生意気なことだ。誰に似たんだか……カーミィじゃなく、俺だろうなあ?



「んじゃ、話させるまでだ」



 ガキ相手でも俺の息子だ。


 十にも満たない年齢だが、転移の魔法を軽く扱えるくらい魔法の技術は叩き込んでいる。一応結界も展開させているし、ちょっと大掛かりな技を披露しても問題ない。



「なーにしてるの!?」



 あと少し……というとこで、後ろから箒のようなもので叩かれた!?


 痛みもだが、声の主で繰り出した相手は誰だかすぐにわかった。



「母さん!」


「……カレリア」



 俺の最愛の妻で、セシルの母親。


 んでもって、今腹の中に久しぶりに子を宿してる女。


 そいつが、俺の魔法詠唱を阻害した上に結界まで壊したんだ。……こいつにしか出来ん芸当だ。



「んもぉ。フィーさんもセシルも本気出し過ぎ! お庭がめちゃくちゃになったらどーすんの!?」


「そこかよ!?」


「母さん。騒ぎ過ぎたら、体に障るよ?」


「だーいじょうぶ! お母さん元気だもん」



 えっへんと胸を張るあたり、本当に元気だなあ……うちのカミさん。そして、カレリアは俺じゃなくセシルの方に行くと髪をかしかし撫でてやった。



「うわ!?」


「大事な大事な子が出来たんでしょう? お父さんに修行の量増やしてもらうくらいに」


「ちょ、母さん!?」


「ほーぉ。やっぱりそうか?」



 だいたい予想はしてたが、当たっていたとは。カレリアもさすがの観察眼ってとこだ。しかし、相手はどこの令嬢……もしくは国民の嬢ちゃんだ?



「んふふ〜? よーやく、自覚したの? りっちゃんに」


「は?」


「…………わかってるなら、言わないで」



 たまに特殊な呼び名をつけるうちのカミさんだが。


 その呼び方はひとりしか該当しない。


 カイルんとこの第一子……チャロナとの子どもであるリーシャのことだ。


 あいつに……セシルが惚れた!?


 俺はカイルと家族にならなきゃなんねぇのか!? と飛躍し過ぎた考えがすぐに浮かんでしまった。


 セシルはセシルでりんごのように顔を赤くしてから、その場にうずくまるくらいの本気だしよ!?

次回は日曜日〜

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