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第73話 コロネ型の苦戦

お待たせ致しましたー

 道具にくるくる巻いて、最後につまんで止めたら……形は小さいけど、コロネが出来ていたの! これを発酵させて焼いたら、クリームとかを入れれるのかしら?



「さ、リーシャ? 失敗してもいいから巻いてみて?」


「うん!」



 その前に細長い生地を伸ばそうとしたら……切れちゃったわ!?


 ほとんど力を入れてないのに、なんで!? と思っているとお母様の大丈夫と言っていただけた。



「ゆっくり優しくは最初よ? 慣れたら、感覚とかがわかるから泣くことはないわ」


「……うん」



 べそべそしてちゃいけないわ、リーシャ。ゆっくり慌てずに作るのよ! 二回目はその意気込みのおかげか切れることはなかったけど、巻くところがすべって上手くいかなかったの。


 お母様やシェトラスに教わりながら、なんとかできたんだけれど……。



「……巻き過ぎじゃないかい?」


「……そうかも」



 伯父様に言われたように、なんだか芋虫のような形になっちゃったわ。生地がリボンのように薄いから、ついつい巻いてしまったと思うの。



「これはこれで焼きましょう? たくさん作らなきゃだし、次は普通のクロワッサンもあるから」


「「はーい」」



 もっと失敗しても大丈夫だとわかってから、少しずつだけど巻くのもわかってきて。最後の十個くらいになるとお母様達のものと、すこーし似てきたわ。お母様に仰る通り、練習は大事なのね。



発酵機(ドゥコンディショナー)〜!!』



 今回は作る数が多いから、お母様がロティを変換(チェンジ)させたの。一枚の天板の上に、だいたい十二個載せている。それを入れても入れてもいっぱいにならない、ロティの発酵機に入れて……あたしが、時間短縮(クイック)を使って、発酵を終わらせたら。


 ふっくらしてるコロネの生地が出来上がっていたの!



「あとはこれを焼いて……待っている間に、クリームでも作りましょうか?」


「チョコかい!?」


「それはお兄さんの担当ね」


「なんと!?」


「私やリーシャは、いちごのクリームにしましょうか?」


「いちごのクリーム!?」



 絶対……ぜぇーったい、美味しいに違いない!!


 強く何回も頷いてから、ロティが今度変換(チェンジ)した釜で焼いている間に……また銀製器具(シルバーアイテム)から、変わった道具を出すことになったの。


 持つところが大きくて、先には二つの……泡立て器? のようなものがついてたわ。



「これはね? ここを押すと、勝手に先の泡立て器が動くの」


「わ!?」



 お母様の仰る通りにつまみを押せば、本当にひとりでに先っぽが動いたわ。びっくりして落としそうになったのを、つまみを動かして止めた。



「この道具を使えば、短い時間でクリームが作れるの」


「これで?」



 とてもそうは思えないわ。

次回は土曜日〜

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