第70話 大量のバター②
お待たせ致しましたー
「どうだい? リーシャ。俺の言ったことが少しわかっただろう?」
「うんうん!」
こんなにもたくさんのバターを薄くするだなんて……大変だけで言い切れないわ! お母様は大丈夫ってお顔だけど、このバターをどう薄くするのかな?
「ふふ。さすがに時間も限られているし、今日の折り込み作業はロティを使うわ。ミアにはまだ機能が搭載されていないし」
「きのー? とーさい?」
「ロティのように、ミアが変換出来ることよ」
『みゅ?』
『でっふでふー! ミアもレベルアップしたら、出来るよーになるでふよ!』
『あいでふ! 母上!!』
「ふふ。バターはとりあえず……お兄さんにまかせて、私達は生地に取り掛かりましょう?」
「相変わらず、辛辣な妹だよ!?」
『……殿下。俺っちも手伝うでやんす』
「ありがとうなんだぞ! レイ!」
伯父様とレイバルスは、うすーい手袋をして麺棒でゆっくりとバターを薄くしている間に。
あたしは、シェトラスとお母様と一緒に……生地の方を作ることになった。あれだけバターを使うのに、こっちにもバターをたっぷり使うのにびっくり。
「……お母様。生地がベトベトにならない?」
「発酵の時はね。サクサクふんわりの秘訣には、バターを惜しみなく使うのもコツよ?」
「お嬢様。私も最初は驚きましたが、いつも召し上がっていただいているのと同じ作り方ですよ」
「……そうなんだ」
こういうのを、『だきょー』しちゃいけないってことね。またひとつ、あたしも賢くなった気がするわ!
ロティとミアの撹拌機でそれぞれ生地を作って……すぐバターを挟むと思ったら、違ったの。休ませたり、丸め直していたわ。
「『なじませる』って工程はとっても大事なのよ? ほんの少し落ち着いてから、次の作業がしやすいのは人でも同じ。リーシャもちょっと休憩した方が、お勉強しやすいでしょう?」
「! うん!」
お母様は凄いわ。パン作りだけじゃなくて、さっすがは公爵夫人って身分だもの。あたしのわからないことを上手に教えてくださるわ。
とりあえず、バターを折り込むって作業をする前に……伯父様とレイバルスがめちゃくちゃ疲れていたから、ちょっとだけお茶休憩になったの。
「あのバターを、伸ばした生地に挟んで……ロティの『シーター』って機能で薄く伸ばすの。ただし、一回だけじゃないわ」
「……どういうこと?」
わからなくてお母様に質問しても、お母様は全然馬鹿にすることなく優しく微笑んでくださった。
「クロワッサンはサクサクふわふわでしょう? 普通のパン以上に、クロワッサンには『層』っていう重なっていることが大事なの。生地の隙間でバターが溶けて、そんな感じになるのよ」
「……うーん?」
「最近食べてないものね? 作ってみたらわかるわ」
ぽんぽんと優しく頭を撫でてくださる……お母様は本当に優しい。伯父様には、全然容赦ないんだけど……それはお父様も同じだったわ。
とりあえず、バターを挟むところにロティが変換したんだけど……見たことがない魔導具みたいなのに変わったわ!!
次回は木曜日〜




