第67話 親子のそれぞれアイテム
お待たせ致しましたー
「なーに、これ!?」
お片付けをした食堂で、お披露目することになった……あたしの新しい、アイテムかもってお母様はおっしゃっていたけれど。
ほとんど銀色の道具達を、ケースというものから出してみたんだけど……サリー姉が言ったように、びっくりするものばっかりだったわ。
「……お母様。これ道具なの??」
角みたいなのとか、板のようなものとか。
包丁のように見えるものもあるけど、剣のような鋭さはないの。
お母様に振り返れば、お母様はふふっと笑いながら手を上にあげたの。
「来て、銀製器具!」
『でっふでふぅう!』
お母様が声を上げたと同時に、ロティも声を上げて。
そして同じくらいに、上から光がシュバってなって……ふよふよと何かが下りてきたの。あたしの新しいアイテムだっていう、ままごとシルバーアイテムよりもっと大きい。旅行鞄くらい大きいんじゃないかしら?
お母様はそのケースを、あたしのの横に置くと。パカって開けたら、中身はいっぱい道具が入ってたの!!
あたしのよりも、すっごくたくさん!!
「これが、私の銀製器具」
道具の一個を取り出すと、あたしのよりも少し大きかったわ。横に並べてみると、それはよくわかった。角みたいなのが一番わかりやすいわ。
「これ何の道具?」
「コロネよ? 伯父様が好きでしょう?」
「え? これで?」
角みたいなのしか見えないから、あのぐるぐるで可愛らしいパンを作れるようには思えないもの。
くるくる回しても、全然そうには見えないわ。お母様はあたしがそうしていても、くすくす笑っていらっしゃるだけだった。
「また今度、作ってみましょう?」
「作れるの!?」
「道具をもらえるくらい、レベルアップしたのだもの。大丈夫だわ」
「チーちゃん直伝のコロネねん!!」
「せっかくだから、ふわふわよりクロワッサンの生地もいいわね?」
「ジャスティス!!」
「……父上、声……大きい」
ほんとーに、マックス様はお母様のパンの大ファンなのね?
わいわいしていると、食堂にお父様がいらっしゃって……あたし達の出してたアイテムを見ると、軽く目を丸くされたわ。
「……リーシャにも付与されたのか?」
「はい。私より時間がかかりましたが、レベルアップして」
「……随分と小ぶりだな」
お父様の手で持っても、あたしのアイテムはだいぶ小さい。すべすべしているから、つるんと落ちそうだったのか……ひとつ手に取ったあとは、ケースに戻してくださった。
それと、お父様はまだだったライスバーガーをシェトラスが持ってきたら、無表情仮面のお父様の表情がすぐに輝いたの。
「あたしがシェトラス達と作ったの!」
「そうか。よく頑張ったな」
「えへへ〜」
お父様はずっと昔は、あんまり表情が変わんなかったってマックス様には聞いたことがあるけど。今はそうじゃないの。
ずっとじゃないけど、特に美味しいのを食べる時は笑顔なのよね?
そのあとは、マックス様に負けないくらいにがっついて食べるお父様を皆で見守ってから……コロネを作るって伝えたら、『八つ時に無理か!?』って叫んだのでマックス様からげんこつをお見舞いされたわ。
次回は火曜日〜




