第54話 子どもの成長(チャロナ視点)
お待たせ致しましたー
*・*・*(チャロナ視点)
……あら。
あらあらあら?
あららぁ?
セシル君が出て行ったのも驚いたけど。
リーシャが抱っこしてもらうくらい、フィルドさんには懐いていたのに。
セシル君が出て行ったら、泣きそうになりながらも追いかけて行った。
これって……まさか。
「うふふ。子どもの成長は早いわね、チャロナ?」
「……そうですね、ユリアさん」
ユリアさん達は、神だから当然見破っている。
あの子達が、それぞれ『子どもだから』と言うくくりだけの感情じゃないのを持っていることに。
「なーによ。ガキンチョはガキンチョじゃないのね?」
「もぉ、悠花さん」
不貞腐れているけど、あなたの子どもだって……メイミーさんのところのサリーちゃんに、必要以上に懐いているじゃない?
性格はともかく……年上好みは誰に似たんだか。この人の血が濃いでしょうけど。
「……リーシャが、セシルをか」
カイルキア様は……あまり認めたくないようね?
まだ八つにもなっていない子どもが『恋』をしちゃってるもの。私だって、『チャロナ』でなかったらこの人と結婚して子どもも出来なかった。
その子どもがちっちゃいなりに好きな相手が出来ることは……喜ばしいことだけど。
まさか、フィーガスさん達の子どもにだとは思わなかったわ。お兄さんとこの従兄弟には、全然そんな素振りもなかったもの。
「はは。子どもは子どもでも、立派な子達じゃないか? 君らの子どもは」
リーシャが行ってしまったから、膝が空いてしまったけれど……フィルドさんは面白そうに笑ってたわ。この結果を知ってたみたい?
「ふふ。ありがとうございます、フィルドさん」
「遅くとも、十年後には結婚かな?」
「あんたねぇ? あいつらまだガキンチョよ?」
「子どもだけど、セシルとやらはなかなかに立派な青年になるじゃないか?」
「ふふふ。父親の特性は受け継いでいないようだけれど」
「あったら大問題だわ」
たしかに。
今では少しコントロール出来るようになったらしい、フィーガスさんの特性のスキル『魅惑の美声』。
あれまで子どものセシル君が受け継いていたら……色々大問題で済まないわ。
けど……今度、カレリアさんのお腹に宿った子どもの事もある。出来れば、受け継いで欲しくないわ。
一度きりだけど……私も若い頃に聴いたあれは、腰が抜けたもの。
「あー、あー」
腕に抱いたままだったディオスが声を上げたので……これはミルクの時間ね? と、私は別室で授乳するのにその場を立ったが。
ユリアさんが見てもいいかしら? とついて来たのだ。
「子どもも孫もいるけれど、小さな命はいつ見ても愛らしいわ」
「ありがとうございます」
そして、魔法陣に行く前にリーシャ達が来たのだけれど。
仲良く目元を赤くしながら、しっかり手を繋いでいたわ。
次回は金曜日〜




