第52話 幼馴染みの自覚(セシル視点)
お待たせ致しましたー
*・*・*(セシル視点)
誰、あれ。
公爵様や、俺の父さんみたい……いや、それ以上の美貌の持ち主だけど。
リーシャが。
俺の幼馴染みが!
その人の膝の上に乗ってる!?
何してんのさ!?
(……ムカつく!)
どこの誰だか知らないけど。
俺の……俺のリーシャを!!
そんな気安く抱っこするな!?
俺だって、リーシャがデカくなってからは一回もしてないのに!?
リーシャもなんで乗ってんの!?
「セシル兄〜!」
その人の膝に乗りながら……リーシャは笑顔で俺を呼んでくれたけど。
俺は……多分笑えていない。
きっと、むすっとしたと思う。
「……やあ」
自分でも情け無いくらい、むすっとした物言いしちゃった!?
リーシャにそんな口の聞き方したことないのに!?
「……セシル兄?」
ほら、素直なリーシャだから不安がっちゃった!?
顔をちらっと見たら……泣きそうになってた!!?
「……ごめん」
とりあえず、謝ってから俺は食堂を出た。
公爵夫人には、言伝は伝えたし帰っていいんだけど。
すぐに転移を使う気にはなれず、逃げるように走って走って。
気がついたら……裏庭に出ていた。
息切れたけど……格好悪くて、そのまましゃがみこんだ。
「……何してんだよ、俺」
可愛い幼馴染みが。
他人に懐くのはまだいい、それは社交性がきちんとあることだから。
だけど……リーシャの場合違った。
他の幼馴染みと違って……あんなにも無防備に知らない美形の膝に乗っていただけで。
俺は……めちゃくちゃムカついたんだ。
まだガキだけど……俺、さっきのでわかったんだ。
リーシャは、ただの幼馴染みだと思っていなかったんだって。
「……はあ」
一個だけしか違わないけど。
可愛くて明るくて、俺を元気にしてくれるいい子。
あの子のことが……好きなんだって。
なんで、こんなタイミングで気づいちゃうんだよ!?
あんな逃げ方したから、絶対変に思われているだろうに!!
マックス様とかには、絶対勘付かれたりしただろうけど……ちゃんともう一度謝ろうと、食堂に戻ろうとしたら。
「セシル兄ー!」
ぐしゃぐしゃの泣き顔の、リーシャが。
こっちに来て、俺を見つけたら抱きつくように走ってきた!?
びっくりしたけど、慌てて受け止めたら。
あったかいと思った途端、リーシャはもっと泣いてしまった!?
俺のせいはわかってるんだけど、どうした!?
次回は土曜日〜




