第43話 食べたいパン
お待たせ致しましたー
とりあえず……今日の用件は終わっているから。
今から、パン作りの練習をすることになったわ!
「あのね! せっかくだから、お姉さん達が作ってみたいパンにしようと思うの!!」
お母様とロティのレシピは、たっくさんあるから……多分大丈夫。
あたしがそう言うと、お姉さん達は『うーん』って首を傾げたわ。
「……作りたい」
「……迷う」
「……私は、可能であれば」
と、手を挙げたのはケイミーお姉さんだったわ。
「なあに?」
「……カレーパンを」
「「え」」
伯父様と同じくらいに声を上げちゃった。だって、あたしがこの前お母様からいただいたカレーパンは作るのが大変って聞いたんだもの。
まだ練習も一回もしたことがない、美味しいパン。
ちょっと……いや、だいぶ難しい問題だわ。
「あ……やはり、あのパンは難しいんですね」
あたし達がだんまりになっちゃったから……お姉さんはしゅんっとなっちゃった。
「うむ。まず、カレーの具材が難しいはずだ。香辛料の調合や、包み方にも……我が妹曰く、技術が相当必要だと。俺も何回か手伝ったことはあるが、かなり難しい」
「調合……ですか?」
「単純な赤辛子だけではないと、ケイミーも理解しているだろう? 調合はなんとか出来ても、包む作業は一回二回で出来ても……揚げた時の具合は大変だそうだ」
伯父様がしっかりしているわ。
一応、王太子だけど……普段のふざけた態度しか知らないから、たまにびっくりするのよね?
「……リーシャ、カレーパンってなに?」
「私も知らないんだぞ」
双子にも聞かれたんだけど……あれって、どんなパンって言えばいいのかな?
ドーナツぽいかもしれないって……お母様は言っていたけれど。
「えーと。サクサクしてる、甘くないドーナツ?」
「なんで疑問?」
「あたしも作ったことないの」
「そうか」
美味しいけど……作りたいけど、すぐには作れない。
どうしようかと思っていたら……クラットお兄さんが手を挙げたわ。
「んじゃ、ケイミーが次に好きなハンバーガーとかは!?」
「ふむ。それなら、俺も手伝ったことがある」
「……そうですね。私だけのわがままで、出来ないものを無理に作ろうとしてはいけませんから」
必要な時には、我慢も大事。
お姉さんは貴族じゃないけど……ちゃんとわかってる。
あたしは子どもだけど……そこがちょっとだけわかったの。
でも、無理はよくないから……次の差し入れまで、お母様に練習をお願いしようと決めたわ!!
お姉さんが悲しくなるのは、よくないもん!!
それを決めてから……あたしは、伯父様に預けていたレシピ帳を開いて。
ハンバーガーを作るのを、始めるわ!!
次回は日曜日〜




