第41話 差し入れ当日①
お待たせ致しましたー
練習をたっくさん頑張った……十日後。
孤児院に行く日だわ。
伯父様も一緒に行ってくださることになったから……転移の魔法で、お屋敷からひとっ飛び!!
サリー姉とミラクルは一緒じゃないけど、エディトとマリーナは一緒だった!
お母様はディオスの子守りが大変だから、お屋敷にいるの。マザーやケイミーお姉ちゃん達にはよろしくって言ってたわ。
もちろん、伝えるわ!!
「ようこそ」
お出迎えには、ちょうどマザー・ライアが出てきてくれたの。
「こんにちは! 今日は皆でたっくさんパンを作ってきたの!!」
「まあまあ、本当にありがとうございます。子ども達もきっと喜びますわ」
「えっとね。甘いのとしょっぱいのを作ったの!」
「まあ、そうですの?」
パン達は伯父様の亜空間収納に入れてあるから、あたし達の手には持っていない。
あたしやエディト達は子どもだからと……子ども達への準備中の時は、ケイミーお姉さん達のところへ行くことに。準備は大人の仕事だからって。
代わりに、お姉さん達に今日のパンを渡すことが任務!
「「「おお!!」」」
「どうぞ、召し上がれ!」
「「「有り難く、頂戴致します!!」」」
お祈りが終わってからは、クラットお兄さんがホットドッグにすぐにかぶりついた。
「……うんめぇ!!?」
「……美味しい!」
「ほんと、美味しい!! サンドイッチの時も美味しかったけど、もっと美味しい!!」
「たっくさん頑張ったもの!!」
『みゅ!』
「「さっすが、リーシャ!!」」
エディト達は、お料理出来ないから……目がキラキラだわ。頑張ろうにも、手でこねたものがすぐに真っ黒になった時を知ってから……うちのちゅーぼーにも基本入れない。
お母様も『ごめんね』って言うくらいだもの。
「こっちのパンは……アンコ? チャロナ様がお得意な」
「作ったのは、うちのシェトラスとかだけど」
決めたようにこしあんにしたけど、クラットお兄さんはとろけるような笑顔になったわ。やっぱり、こっちがよかったのかも。
「外側も甘い……これはドーナツですね? わっかじゃないのが不思議」
「ケイミーお姉さん、美味しい?」
「ええ、とても。子ども達も美味しいって言うの間違いなしですよ」
「マザー達が呼びに来たら、様子は見れますよ? チャロナ様の時もそうでしたし」
「そうなんだ」
十六歳から……お母様が頑張ってた差し入れ。
あたしは、無事に引き継げられるかしら?
普段の、ケイミーお姉さん達のパンを食べてみたんだけど……まだシェトラスの方が美味しいと思える出来だった。
練習以外にも……異能を持っている人が居るいないだけで、こんなにも味が変わるんだ。
あたしは……お母様がいることもだけど、恵まれていたのね? それがよくわかったわ。
食べ終わった頃に、マザーに呼ばれたので……講堂の端から、こっそり覗くことになった。
次回は月曜日〜




